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根岸 郁男
根岸 郁男
novelistID. 64631
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春に咲かない桜

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春に咲かない桜


登場人物
 古市 咲良(28)  主人公
 軽米(32)     所轄の刑事部捜査第一課の新米刑事
 近藤(48)     隣の部屋のおばさん
 春斗(9)      近藤の息子 小学生生
 健史(35)     武谷 健史 元彼   
 女A(23)
 所轄警察署刑事部捜査第一課 課長の声(56) 
 女子職員A(22)      青森県八戸警察署刑事部職員
 古市 時子(58)  咲良の母
 老婆(84)        

      春に咲かない桜

○咲良のアパート 自室前
   咲良(28)、部屋のドアを開け出てくる。ベージュ色の冬物コート。
   咲良、ドアを閉め施錠する。。
ニ、三歩、歩く。
ベージュのコートの下は黒いスカート、黒いストッキング、黒いハイヒール。
咲良、ふと立ち止まり踵を返し再びドアまで戻る。
鍵を差し込み再び開け、室内へと入っていく。
ドアが閉まる。三十秒程してドアが開き、咲良、ドアを閉める。
施錠はしない。
咲良、腕時計を見る。17時30分を示す時計の数字(デジタル)。

○東京駅 タクシー降り場
   タクシーから降りる咲良の脚。
   アスファルトの地面を粉雪が舞っている。
ベージュのコートの襟を立て駅、構内へ向かう。東京駅の時計18時過ぎを刻んでいる。見ている咲良。

○東京駅 構内
   雑踏の中を掻き分けて進む咲良。

○東京駅 構内 女子トイレ前
   人気を離れ、トイレの中に駆け込む咲良。
   スマホを取り出し電話をかける。何度か呼び出し音が鳴って相手が受ける。
咲良「となりの部屋の古市咲良です。夕飯時すみません。あの、ちょっとお願いしてもよろしいでしょうか」

○咲良のアパートの隣の部屋
   電話を受けている近藤(48)。小太りの体型の近藤、腰に手を添え
近藤「いいわよ、何」
   少し離れたところで食事をしている小学生の息子、春斗が母親の方を食べながら見ている。
咲良の声「大変申し訳ないけど、ドアの鍵を閉め忘れたの。締めていただけないでしょうか」
近藤「良いけど、あななた今どこにいるのよ」

○東京駅 構内 女子トイレ内
咲良「東京駅。田舎に急な用事があって…。どうしても行かなくちゃならなくて。」
近藤の声「そう、いいわ、やっとくわ。鍵はあなたが来るまで預かっておけばいいのね」
咲良「申し訳ありません」

○近藤の部屋 台所
近藤「いつ、帰ってくるの?」
咲良の声「そんなに長くはならないと思いますけど」
近藤「そう…、わかったわ。用事はそれだけ」

○東京駅 構内 女子トイレ内
   咲良の唇。
咲良「はい。あの」
近藤の声「なに」
咲良「鍵はドアから入って奥の台所テーブルの上に置いてありますので。宜しくお願いします」
近藤の声「(少し間が空いてから)そう、わかったわ」
   電話を切る音。

○近藤の部屋
   近藤、少し考え込んでから食事テーブルに向かった。
春斗「どうしたの」
近藤「鍵かけ忘れたから締めて欲しいって。普通、閉め忘れるか?」
春斗「僕が締めてきてあげようか」
近藤「親切ぶってホンとは隣の姉ちゃんの部屋見たいんだろ、スケベ」
春斗「おばちゃんなんか興味ないよ」
近藤「一緒にいこか」
春斗「いいよ」

○東北新幹線 はやぶさ37号
   新幹線の中。
   車窓から見える外の景色は黄昏時をとうに過ぎて暗くなっている。
   宅地や建物の外観は判断できないくらい暗い。室内の灯りのみが点々と点いている。
   咲良、窓に顔を近づける。車窓に映る咲良の顔。

○咲良のアパート 部屋の前 
咲良、自室前からニ、三メートル先で足を止める。
咲良、踵を返し再びドアの前に戻り、鍵を差込みドアを開ける。

○咲良の部屋 室内
   狭い玄関でハイヒールを脱ぐ咲良。
   傍らには男性の靴が無造作に脱ぎ捨てられてある。
   咲良、狭い廊下を進む。
   台所のテーブルの床にスラックスの男性が前のめりに倒れている。
   顔はまだ見えない。
   ワイシャツから滲み滴り落ちた血が床に広がっている。
   咲良、コートのポケットから鍵を取り出し、食卓テーブルに置く。
   咲良、踵を返し、玄関に向かう。
   男性の靴を丁寧に直す咲良の手。ドアが閉まる。

○東北新幹線 はやぶさ37号   
   車窓に映る咲良の顔。
   咲良、スマホを取り出し操作する。
スマホに男性(健史)と咲良が写っている自撮り画像がでる。スクロールすると二人の楽しそうな画像がでてくる。

○咲良のアパート 部屋前  
   隣の部屋から出てくる近藤と春斗。
   先に春斗が咲良の部屋のドアを開け入っていく。
   どやどやと入っていく春斗。あとから続く近藤。
   扉がバタンと閉まる。

○咲良の部屋 台所
   春斗、呆然と立ち尽くしている。
   玄関で靴を脱ぎ中に入る近藤。
   バタバタと足音を立て春斗が驚愕の表情で戻ってる。
   近藤を見る。
春斗「お母さん、人が死んでいるよ!」

○咲良のアパート 前景 夜
   救急車、パトカーが赤色灯をつけて駐車場に停まっている。
   二階の部屋から救急隊員が担架に白い布を被せでおりてくる。
   タイトル「咲かない桜」

○咲良の部屋
   鑑識課の職員が指紋採取や写真撮影をしている。
傍らで刑事部捜査第一課の新米刑事、軽米(32)が無線で所轄の課長と携帯電話で話しをしている。
軽米「害者のスラックスのポケットに入っていた運転免許証から都内に住む武谷 健史、男性と判明。年齢は三十五歳。背中から何度も包丁が突き刺さり出血多量で亡くなった模様です。」
刑事部課長の声「害者と容疑者の関係がわかるようなものは」
軽米「今のところ正確が情報はわかりませんが、容疑者の寝室から産婦人科から処方してもらった薬が見つかりました」
家事部課長の声「産婦人科?その病院の名前と電話番号を教えてくれ。こっちで調べる。容疑者の名前はわかるか」
軽米「容疑者はこの部屋に住む古市咲良、二十八歳。なんでも、容疑者が新幹線の中から隣の住人に電話して部屋の鍵を閉め忘れたから閉めるようにお願いされて判ったようです。
田舎に用事があるとか。田舎ですか、隣の住人に聞いたところ、もう直ぐ、えんぶり、が始まるとか。おそらく青森県の八戸市に向かったと思われます。自分も一回観に行ったことがあります。容疑者が電話をかけてきた時間から推測すると二十ニ時六分八戸着のはやぶさ37号に乗車したと思われます」。
刑事部課長の声「こちらで殺人事件として捜査本部を設置しておく。おまえ、今から言って来い」
軽米「え!今からですか。」
刑事部課長「なにか文句があるのか」
軽米「はい、わかりました。では青森県八戸警察署に連絡してから至急向かいます。え!顔写真ですか、(見渡し)この辺には容疑者の顔がわかる様な写真はありませんが」
刑事部課長の声「それはこちらで八戸署へ連絡して手配しておくから君は直ぐに駅に迎えたまえ」
軽米「はい、わかりました。でも課長、ひとつわからないことが。容疑者は何故事件が発覚することをあえてしたのでしょう」
作品名:春に咲かない桜 作家名:根岸 郁男