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吹雪だ! ライダー!

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ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!

 ライダーとマッスルが奮闘している間に、ライダーマンはペンションに戻ってレディ9、晴子と対策を練っていた。
「晴子ちゃん、妖気を感じると言っていたな」
「ええ」
「この雪山に現われて吹雪を招く妖怪と言えば……」
「ええ、雪女よ、どこかに隠れているんだと思う」
「おそらく雪女はマンモス男が活動しやすい環境を整えるために必要なんだろう、だとすれば雪女にこの吹雪を止めさせられればマンモス男の動きは鈍る可能性が高いとも言える……レディ9、雪女をみつけられないか?」
「地獄耳を発動するわね……あ、いたわ」
「どこだ?」
「死神博士のすぐ後ろよ、死神博士が吹雪を起こしているような振りをしてるけど、本当は雪女がやってたんだわ!」
「晴子ちゃん、雪女の弱点は……火か?」
「ええ、その通りよ、高温には弱いわ」
「ならばあたしが火遁の術で!」
「無理よ、火遁術の炎では死神博士のマントで遮られちゃうわ」
「ならばこちらもツープラトンで行こう、これを使うんだ」
「なるほど! そういうわけね」
 ライダーマンがその右腕に装着したアタッチメントを見て、レディ9はニッコリと微笑んだ……。

ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!

 ライダーとマッスルが目を付けたのはスキー場の防護ネット、上部にはワイヤーが仕込まれていてマンモス男でもおいそれと引きちぎれそうにない。
「行くぞ! ライダー!」
「おう!」
 二人はネットの端と端を掴んでマンモス男の左右に走り込む。
「パオー!」
 マンモス男は再び鼻を振ってライダーを狙うが、空中でなければそれを食らうようなライダーではない、さっと身をかわすと太い足元へ、逆側からはマッスルも回り込んで来る。
「そっちの端もこっちへ渡してくれ!」
「ああ、頼む!」 
 両方の端を手にしたマッスルが、その怪力でワイヤーを縛ると、マンモス男はバランスを崩す。
「ライダー、どうせなら向こうへ倒さないか?」
「ん?……なるほど、それはいいアイデアだな」
「アシストするぜ」
「おう!」
 再び宙を舞ったライダーがマンモス男の左頬を蹴ると、右側に倒れて行く。
「うわぁぁぁぁ……」
「助けてくれ~」
 そこには、かんじきを奪われ、腰まで雪に埋もれながらもようやく追いついてきた戦闘員達、しかし、雪に足をとられていては咄嗟にかわす事などできるはずもない。
 ズズ~ン!
 マンモス男が倒れ込むと戦闘員達はその下敷きに。
「これでだいぶ時間は稼げそうだな」
「ああ、だけど、ただ見てるだけってのも能がないぜ」
「そうだな、ダウンした相手を攻撃するのはスポーツマンシップにもとるが……」
「これだけの体格差があれば、綺麗ごとも言ってられないだろう?」
「そうだな、行くぞ!」
 マッスルはマウントポジションを取ってマンモス男をタコ殴り、ライダーもサッカーボールキックを雨アラレと降らせた。
「パ、パオォォォォォ!」
 マンモス男の悲鳴が雪山にこだました。

ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!

「ご主人、灯油のタンクはどちらですか?」
「あ、それならこちらに」
「これは大きなタンクですね」
「まだ半分以上入ってますよ」
「少しお借りしても?」
「ええ、あの化け物を追い払って下さるなら全部使っていただいても……」
 ライダーマンが装着したのはウォーターガン、トイザらスで購入した税別1,980円の水鉄砲に改造を加えただけの最安値のアタッチメントだが、何度も活躍している優れものだ。
「死神博士! こっちだ!」
「な、なにっ?」
 マンモス男とライダーたちの戦いに気を取られていた死神博士は不意を衝かれた。
「わっ、冷たい! ん? なんだ? 臭うぞ」
「今話題のココナツ油でなくて残念でした! 食らいなさい! 火遁の術!」
「ぐあぁぁぁぁ! あちっ! あちっ! あちっ! あちっ!」
 灯油がたっぷり沁み込んだ所に火の玉、死神博士のダウンコートはあっという間に燃え上がり、博士は新雪の中を転げまわる。
 すると晴子が言ったとおり、死神博士の背後に隠れていた雪女が姿を現した。
「あんたたち誰? 邪魔をしないでもらいたいわ」
 氷の視線で言い放つ雪女。
 相手が妖怪ならばと真っ先に前に出ようとした晴子を制してレディ9が矢面に立った。
「この吹雪はあなたの仕業ね?」
「決まってるじゃない、吹雪を起こせるなんて者はそうそういないでしょ?」
「ちょっとそれ、止めてもらえないかしら? マンモス男が元気づいちゃって困るのよね」
「どうして私があなたたちの言う事を聞かなきゃいけないのかしら? こっちにはこっちの都合ってものもあるんだけど」
「できれば手荒な真似はしたくないんだけど、優しく頼んでも無理そうね、はあっ!」
 火遁の術で火の玉を飛ばす、しかし、その火は雪女の冷たい息のひと吹きで消えてしまう。
「女性に失礼な事はしたくないが」
 ライダーマンが灯油を飛ばす、しかし、これも冷たい息によって凍らされてしまう。
「むむ……どうやら物理的な攻撃は無意味なようだ……」
 その時、晴子が進み出た。
「レディ9、ライダーマン、ここはあたしに任せてもらえないかしら」
 「危険はないの? 晴子ちゃん」
「ええ、冷気を防ぐ術は持ってる、それに対決するのではなく話し合うつもり」
「それなら……」

「パオ~~~~~!」
 折りしも、ライダーとマッスルにやられ放題だったマンモス男が本気で怒った様だ、防護ネットのワイヤーもその怪力でぶっつりと切れてしまった。
「じゃ、ここは任せるわ、お願いね!」
 ライダーマンとレディ9はライダーたちの加勢に向かった。

ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!

「あなた……普通の人間ではなさそうね」
「生物学的にはごく普通の人間よ、ただし、あたしの名前はアベノセイコ、陰陽師よ」
「道理で……特別な気を放っているわ」
「あなたの冷気はあなたの体の中で作られるものではないわね? 熱交換によって生み出しているんじゃなくて?」
「え~と……ちょっとそのへんの科学的な理屈は良くわかんないわ、ただ、私は空気から熱を奪って、余った熱は空高く放出しているだけなんだけど」
「それが熱交換よ、でも、それって意識してないとできないんでしょう?」
「あら、良く知ってるわね」
「だって、そうじゃないと人間と夫婦になんかなれないもの」
「あ、そうそう、そこなのよ、さすがに二百年も経つと夫の巳之吉のことはもうどうでも良いんだけどね、残した十人の子供たちがその後どうなったか知りたくてねぇ……そしたら、そこに転がってる死神博士って男が、自分は陰陽師と知り合いだから、子供たちの霊を降ろして逢わせてくれるって持ちかけてきたもんだから……」
「それがショッカーに協力してる理由?」
「まあ、そういうことね……だって吹雪を起こしてれば良いだけなら手馴れたルーティンワークだし……」
「あなた、騙されてるわよ」
「え? どういうこと?」
作品名:吹雪だ! ライダー! 作家名:ST