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コント—ゆるキャラ

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コント:ゆるキャラビジネス
<登場人物>
甲:富●県魚●市にある『新宿商店街』の非公認ゆるキャラクター
乙:『新宿商店街』の振興会長


 ――本編――

甲:お願いしますよ。お願いしますって。
乙:駄目だ。駄目なモノはだめだ。
甲:お願いしますよ、この「新宿商店街」のゆるキャラに、自分を採用してくださいよ!
乙:いいわけなだろ。大体なんだ、お前は
甲:この『新宿商店街』を盛り上げようとしてるゆるキャラですよ! 今はまだ独自で動いてるだけですが……
乙:本当にゆるキャラなの?お前。
甲:何ですか?疑ってるんですか?
乙:いや、だってもう………生身じゃん。生身。ただのホモサピエンスじゃん。

乙、ただのTシャツにジーンズという出で立ちの甲を指さして突っ込む。

甲:いや、そこは着ぐるみに頼らずとも生来の魅力で……。
乙:それを言って良いのは橋本環奈クラスの美少女とか、三浦大地レベルの美少年だけだ。もしくはいかちゃんクラスのピュア少女な。
甲:いや、全然自分その面子に負けないっすよ。(物凄い強い語気で)
乙:――思いっきり、見た感じでは負けてるよ。
甲:あなたに見えているのは、この私のほんの一面ですよ……
乙:黙れ。能書きいいからさっさと失せろ。
甲:ちょっとちょっと、みすみすシャッター街になった商店街を救うビジネスチャンスを手放すつもりですか?
乙:チャンスでもなんでもねぇよ。お前の存在は。
甲:わかってないですね~~。ビジネスを。経営学も経済学もわかってませんよ、貴方は。
乙:お前は解ってんの?
甲:いっときますけどね、私は与沢翼とか浜矩子とかその辺の有識者のコメントを読み漁ってるんです。
乙:それイマイチ信用できない専門家ばっかりだろ。
甲:一面のクソミドリが広がる広がる田舎を立て直すためにも頑張りますので!
乙:やかましいわ

乙:大体さ、ゆるキャラってさ、もっと子供に受けなきゃいけないんだから。子供たちに「面白い!』って思われないといけないんだよ?
甲:あぁ……子供にそうやって評価される、っていうのは癪ですね……
乙:なんでだよ。
甲:なんか、プロが素人に評価されるっていうのが、ちょっと……
乙:止めろ、それ。なんだ、そのプライド。

甲:こっちとしては、自分の食い扶持も稼げないガキに偉そうに上から感想言われてくないっすもん。
乙:知らねぇよ。あと、お前は別に“プロ”でもねぇだろ。
甲:いや、プロですよ、プロ。確かに、まだ何のキャラクターになってないですけど。
乙:……うん、だから、プロじゃねぇんじゃねぇかよ。

甲:今のところ収入も得れてないので親からの仕送りに大分頼ってっちゃってますけど。
乙:じゃあ、プロどうこう以前に子供のこと言えないじゃねぇかよ!そもそもっ。

甲:先月は20万程貰っちゃいましたけど。
乙:初任給レベルじゃん。額面が。

甲:けど、アレですからね?言っても自分はバイトとかで多少の収入は得てますからね!?収入が完全にゼロの子供らに審査なんかされたら溜まりませんよ。
乙:強気で食ってかかって来るんじゃねぇッッ。何だオマエ、そのプライド。

甲:例え人気投票で票を貰ったとしても全部返上してやりますよ。
乙:プライド高いな、オイ。MANZAI-Cか、お前は。 “彷徨のヒットマン”MANZAI-Cか、お前は。
甲:……はい?
乙:いいよ。解んないなら解んなくて。
甲:……あれですか?「1万通りのボケを持つ――
乙:知ってんのかよ。

甲:そんなことより、この自分、“ハッパ―”をゆるキャラに採用してくださいよ。
乙:なんだよ、そのネーミングセンス。
甲:名前で判断するのは早いですよ。

乙:あのな、お前を雇うくらいならブラックパイナーSOSの山野さんを雇うわ。「小さいオジニャン」を雇うわ。
甲:はい……?
乙:いいって。わかんないなら。
甲:……あの脚の皮を使ったエネルギー実験をした……
乙:そこそこ知ってんじゃねぇかよ。
甲:話合うんじゃないですか?我々。
乙:嫌だわ、何か。お前と話が合うって。
甲:今からでもちょっと飲みいきません?
乙:いかねぇよ。

甲:やっぱ、ゆるキャラやるんだったら、着ぐるみとかないと駄目ですかね?
乙:駄目だろう。それは。“キャラ”なんだから。
甲:それだったら、コリン星人とか10万歳を超えている悪魔とか色々着ぐるみ被ってないきゃらいるじゃないですか。
乙:うん、その人達はね、別枠なの。ゆるキャラのキャラとはニュアンスが違うの。
甲:あと、ヨガのゆるキャラの片岡鶴太郎とか……
乙:その人はキャラじゃないんだよ。
甲:いや、キャラに決まってるじゃないですか。あのルックス。
乙:キャラじゃないの。素でヨガ中心の生活をして体重を40キロ台まで絞ってるの。真面目にヨガをやって人間を超越してるの。
甲:何ですか、それ。ディオ・ブランド―みたいじゃないですか。

甲:じゃ、これとかどうですかね…一応着ぐるみ作ってることは作ってるんですけども……
乙:お、何だよ。作って来てんじゃん。
甲:――これなんですけど……
乙:?なに、それ。葉っぱ?何かの植物の葉っぱのキャラ?
甲:あ、そうです。ハッパです。ハッパ。ハッパのゆるキャラです。
乙:へぇー。何かいいね。可愛らしい恰好で。何の植物?
甲:アサです。
乙:おいおいおいおいおいおい
甲:アサの葉の妖精です。
乙:脱げ脱げ脱げ脱げそれを。
甲:え?なんすか?まだ何のパフォーマンスもしてないのに
乙:見たくないよ、そのキャラのパフォーマンス!
甲:何でですか!理由を言ってくださいよ!
乙:大麻だからだよ! 違法だからだよ!! この国では許されない存在だからだよ!!!
甲:持ちネタのギャグとか、いい感じに緩いパフォーマンス揃ってるんですけどね。
乙:緩くない緩くない。バッキバキだろ、そのパフォーマンス
甲:「ふなっしー」顔負けのハイテンションギャグ持ってるんですよ?
乙:怖ぇよソレ。
甲:もう、声を裏返して跳ねまわりますよ。全身のバネを使って。
乙:そのキャラ設定でハイテンションってのは、もうラリってるってことだろ。
甲:液体プッシャー――!!!!
乙:止めろって、だから!(サイドキックを入れる)
甲:ウワッッ!!!

甲:何するんですか!ゆるキャラに暴力なんて!
乙:うるせぇよ!
甲:みんながハッピーになれるエネルギーを持っているキャラなんですよ?
乙:もう、何を話されても全部危ないワードにしか聞こえない。
甲:えぇ~~……。落ち込んだ気分もすぐに回復する魔法の薬草なのに……
乙:けど副作用で人生破壊されるだろ。
甲:効果のほどは世界で実証済みなんですけどね。何回権力者が抑圧しても流通するンですから。
乙:それポジティブに話すなよ。

乙:けど、あれでしょ?一応確認するけどさ、何も実際に持ってるわけじゃないんでしょ?
甲:……
乙:おいおいおいおい、待て待て待て待て
甲:ま、ちょっとだけ……
乙:コラ!!
甲:いや、けどこの前逮捕されたUZIさんよりも少ないんですよ?!
乙:アノ人は多過ぎなんだよ。
甲:じゃぁ、もうこれそっちで捌いてくださいよ(着ぐるみの中からビニール袋に入った葉っぱを取り出す)
作品名:コント—ゆるキャラ 作家名:能嶋考稀