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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「サスペンス劇場 恩返し」 第二話

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娘の言った「遠慮は自分の恥になる」という言葉を隆はどこかで聞いたことがあると思った。

「では、お願します」

「恥ずかしいので少し目を伏せていてください。ハイと言いましたらこちらを向いて結構です」

言われたとおりに入口とは反対方向に身体を向けて、目を伏せていた。
彼女は湯船の中に入ってきた。

「ハイ」

隆は振り返る。
真っ白な肌が湯を通して見える。右手で胸を、左手で下腹部を隠しながら笑顔で頷く。

「こうしているのが夢のようだ。名前は何と言われる?そう言えば聞いていなかった」

「詩乃と呼んでください。村林さまは何と言われるのですか?」

「ああ、隆だよ。詩乃さんの苗字は?」

「女は名前だけでよろしいではありませんか」

「そうだね。これは失礼した。しかし、詩乃さんは綺麗だ。こんなところにあなたのような女性が住んでいるということが信じられないよ」

「私に見覚えが無いと言われるのですね?」

「もちろんだよ。ここに来るのは二度目だからね。詩乃さんに偶然出会ったんだから」

「そうでしたね。偶然出会った・・・のでしたね」

何か意味ありげな言い方をする詩乃をこの時は疑うことは無かった。
背中を流してもらって、先に風呂から出て囲炉裏の前で食事が運ばれてくるのを隆は待っていた。

みそ味の鍋にはイノシシの肉と豆腐、野菜、キノコが入っていた。
地酒と思われる日本酒を飲みながら鍋をつつく。身体が温まる。気持ちも温まって、車が側溝に落ちたことなど忘れていた。
突然スマホが鳴る。

「はい、あっJAFのかた・・・はい、ええ~そうなんですか、じゃあ明日の朝一番でいいです。また連絡待っています」

「どうされたのですか?」

「詩乃さん、車を引き上げてもらうはずだったけど、雪が深くなってこの時間からは来れないって言われたんだよ。だから明日の朝までここに居させてもらっていいですか?」

「もちろんです。私もそれをお願いしようと思っていましたから」

「そうなのですか。何だか甘えすぎて申し訳ありません。お母さんにもよろしく言ってください」

「母はここには住んでいません。今は一人なんです。なのでご遠慮はいりませんよ」

「そうでしたか。じゃあ、お父様やご兄弟は?」

「いません。母だけです」