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もやもや病 6

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52 患者会への電話

次男の病気が分かり、患者会にたどりついた私
私はその時点で、情報を求め、1人じゃないことを実感したくて、その直後からかなり無防備に患者会のことを考えてきたと思う

元々単純な私なので、あれやこれや考えることが苦手でもあって
同じ病気とわかった人は、仲間だと思った、みんな同じようなことを考えているものだろうと単純に思った
それが基本にあって動いてきた

相談電話を受けても、その思いははじめの頃と変わらなかった
この電話を掛けるまでには、電話の前でウロウロしたのではないかしら
どんな人がどんな感じのことを言うのだろうか…
これはこうと押しつけられるようなことを言われたらかなわないし…
宗教的なことを言われたらどうしようか…
会に入らないといけないと言われたら、そんなつもりではないのに、会に入らないと教えてもらえないのかしら…

そんなことをあれこれ考えているのではないだろうか、そう思うと、とにかく、その思いが分かるという仲間の立場で話しをしたいと思った

会のことを聞きたいという話し方で電話をくださる方も…
会とはどういうことをしているのですか、と聞かれる人も…
病院がどこかにないかと思ってと聞かれる人も…
資料が欲しいのですがどうしたらいいですかと言われる方も…

すべて、はい分かりましたと言ってしまえば終わるような話の仕方

長い電話になっては申し訳ないとは思いながら、今困っていることはありますか、と聞いてみる
主治医の先生といろいろお話しできますかと聞いてみる
患者さんの年齢はおいくつですか、と聞いてみる
そこで初めて、本当の話が出てくることが多くて^^
ああ、これを聞きたかったのだなあと思うようなこともとても多い^^

知っている限りのお話しをする
これは患者さん皆さん言われることのようですよ、と言うと、初めて、同じ病気の人と話が出来たと言われて、1人の時には考えが空回りしていたと言われる
このあたりで、ホッとするのか泣いてしまう方もとても多くて

そんな話をしながら、私は、同じ思いを経験した仲間だと、今でも思っている

話の仕方も、もしかしたらなれなれしい人だと思われているかも知れない
お役所に電話をするのではないのだから、患者の家族という立場は同じなのだからと思うけど

でも、時々は、最初から最後までおなまえを言わない人も居て
大体は、最初は名前を言われなくても、最後は資料が欲しいとか、また電話をしますとか言って終わることが多いのだけれど

2回目の電話の時に、先日電話をした○○ですがと言われても、お名前に心当たりがなくて、覚えていないのかと言われたこともあって、話の内容を聞いて思い出すこともあり、メモのノートを見ても名前はいわれなかったと書いてあるのを見つけると、聞かないものを言われても仕方ないのになあと電話を切ってから思うようなこともあった

知り合いの人が病気でと言われることもある
もしかしたらこれも警戒してウソを言われているのかしらと思いながら、近いうち患者さんのご家族にお電話を頂けるよう伝えて下さいと言っておく
お子さんの人数からウソを言われる方もある
検査をするので入院しますと言われたことが、検査ではなく手術だったこともあった

会には入ったけれど、会報が届くのさえイヤだと言われる方もあって
私が単純に同じ病気の人は仲間だと思うことには、もう無理があるのだろう…

情報はいくらでも欲しいけれど、自分から何も話したくないと言う人がいることも

こんなことを書きながら、患者会がどんなことをしているかなど、他の人には解らないことは当然で…

重い電話を受けた後、何も手に付かなくて、どんより落ち込むこともしばしば…
けれど、病気は人を選んで罹るものではなくて
病気があったらみんなが良い人でもないし、悪い人でもない
相手を傷つけるようなことを言われてもそれに気が付かない人も、病気にはなるのだろうから

もうかなり前に、他の病気の会の役員の方が、昔はやんちゃをされたそうで、怖いと言われるお友達が居るところにいたこともあると笑いながら武勇伝を聞かせてくれたおじいさんが居た
そう言うことだってきっとあるのだろうなあと思って納得した

多くの患者会の役員が、もしかしたら似たようなことを思っているのかも知れない、こんなふうに私のように書かないで居るだけで

患者会が、個人の家ではなく、大きな団体のように、どこかに事務所を持っていると思われている場合もあるようで、皆さんと何も変わらない同じ立場なのにね

これが、患者会の相談を受けていると言うことなのだけれど・・・

作品名:もやもや病 6 作家名:とことん