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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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RMの告白

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 ミス・マイミ・アイジョウの作品を読んでくださっている皆様、私を覚えていますか。ロザリー・メイです。

 唐突ですが、今回私が文章を書きましたのは、およそ1年前に私が死亡させてしまったティム・シュルツに対する本当の気持ちを、読者の皆様に明かしたいからです。


 ティムはインディーズバンドの一員でしたが、ソングライティングの才能、パフォーマンス、人となり、そのいずれにも心惹かれるものがありました。そしていつしか私は、彼に対し恋愛感情に近い気持ちを抱くようになりました。

 しかし、向こうは妻と生まれて間もない息子を愛する家族思いの青年。その家庭を壊してでも彼の愛を得ようとは、思っていませんでした。ティムが公私ともに幸せな姿を見られれば、私はそれで良かったのです。

 それにもかかわらず、地下鉄への階段で私が軽はずみかつ非常識な行動を取ったのが原因で、彼の命は失われてしまいました。また、私は彼の家族や仲間たちの幸せを、夢を、壊してしまったのです。被害者の妻サラの怨嗟と悲しみに満ちた、
「ティムは私たちより泣いてるわよ…!!来月メジャーデビューするはずだったのに、私と2人で息子を育てたかったのに、あなたは彼の全てを奪った……!」
 という声は、今も強く耳に残っています。被害者本人の嘆きの声も聞こえてきそうでした。私はこの世に居ない被害者と遺族にひたすら謝罪しました。大量の涙を伴って…。


 決してティムと両想いになろうとは思いませんでした。ただただ彼が幸せであればと願っていました。その私が彼自身を、そして彼を愛する人々全てを不幸にしてしまいました。私は何と罪深い女でしょう。


 しかし、裁判期間で拘留中のとき、私の夢にティムが現れました。私は怖くなりました。彼の妻と同様に、悲しい、悔しい、そして恨みのこもった気持ちをぶつけに来たに違いない…そう思いながら震えていました。
 すると、被害者は私に恨みの言葉を吐くどころか、私を励ましてくれました。私は彼の何の曇りもない優しさに心を貫かれ、涙が止まりませんでした。励まされたうれしさを感じると同時に、私はこんなにも心の清い人を死に追いやってしまったことを強く、強く悔やみました。

 その後も、ティムのことを忘れた日は1日もありませんでした。彼と彼の遺族、そして仲間たちのことを思うと申し訳ない気持ちになり、1人で泣きました。毎日十字架のネックレスを握って天井を見ては、何度も
「ごめんなさい」
 と言いました。また、11月のある日には、彼のお墓参りに行きました。そこで言葉にできない謝罪と、紫のヒヤシンスの花束をたむけました。

 でもね、私がどんなに悲しんでも、シュルツ夫人の抱く悲しみには遠く及ばないことは理解しています。私に用意されている幸福を全て彼女に譲り、自分は底辺の人間になっても構わないとさえ思っています。


 私はこれからの人生を贖罪に捧げてゆくつもりです。以前サラに言われたとおり、ティムの死を無駄にしないで…。
作品名:RMの告白 作家名:藍城 舞美