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てっしゅう
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「かぐや姫」 第十話

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「お父さん、いま連絡を受けました。彼らは地球上に待機しています。間もなく連絡船がこちらへ来るのですが、あのカプセルを持って裏山に連れて行っていただけませんか?」

「行ってしまうのか?」

「いえ、話し合いをするだけです。司令官からは父からの伝言があるそうで、お父さんも同席して欲しいとメッセージがありました」

「ボクが?宇宙船に行く?危険じゃないのか?訓練なんかしていないぞ」

「大丈夫です。反重力でゆっくりと飛行する連絡船です。地球上では特殊な防御スクリーンを張っていますので、見つかることは無いです」

「目に見えないということか?」

「そういうことになります」

信じられないような話を聞いたあと、ボクは美加と翔を残してかぐやを車に乗せると、思い出の裏山へ向かった。
カプセルを置くと一筋の閃光が天に向かって放たれた。
それから数分のうちに連絡船は真上の空間に停止し、乗り込むためのエレベーターが下りてきた。

「さあ、乗りましょう。安心してください」

二人を乗せると引き上げられ、宇宙船に入った。
居並ぶ数人の兵士と見られる乗組員たちは、全員片膝をつき頭を下げてボクたちを迎え入れた。

「お嬢様、お待ちしておりました。こちらへどうぞ」

案内された部屋には普通に見る椅子とテーブルが置かれていた。
司令官と思われる男が恭しく礼をとる。

「亡き国王の志を達成するためにこの日を我々同志たちは待ち望んでおりました。お嬢様を育てて頂き感謝に堪えません。祐一様には希望するどのようなことでも叶えて差し上げるように国王から申し伝えられております。是非、ご希望を申し付け下さい」

あの日、カプセルから発せられたメッセージの最後に聞かされたことが、守られようとしている。

「かぐやを拾った時、同じようなメッセージを聞かされました。ボクたちはかぐやを自分の子供と同じようにして育ててきました。今、目の前のかぐやが自分の知っているかぐやとは別人のように見えても、ボクには幼い頃のかぐやと同じとしか思えないのです。それは美加も弟の翔も同じでしょう。何も要りませんから、かぐやと時々会えるようにしていただけませんか?」