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てっしゅう
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「かぐや姫」 第八話

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「お父さん、一つ聞いていいですか?」

「はい、もちろんです」

「かぐやさんは12歳ですよね?」

「今年誕生日で13歳になります」

「そうですか・・・これはお母さまが戻られたらお聞きします。気になさらないで下さい」

「ここに来る前にかぐやと二人で話していた時に、自分は他の女の子や母親とは違う身体をしていると言ったんです。ボクには言えないことだけど、と付け加えてね。いまも看護士さんはそういうニュアンスでしたよね?」

「そうでしたか。本人も自覚されていたのであれば構いません。個人差の範囲だとは思いますが」

病院では念のために全身の検査を行った。CT以外に血液検査と尿検査を実施したが、眠っている状態だったので、尿は管を入れて膀胱から採取した。
その時に同年の女子に見られる二次性徴の特徴がみられなかったので、看護士は母親に聞いてみようと思ったのだ。

美加が戻ってきて、先ほどの看護士と二言三言話していた。

「美加、何を聞いてきたんだ?ボクには言えないとか言っていたけど」

「うん、こうなっちゃったから言っておかないとね。10歳の時に生理は来たんだけど、今の年齢になっても大人の形をしてないのよ、あの子は」

「よく解らないな、その言い方だと」

「本人が気にしていたことは、私や友達は・・・そのう・・・イヤだ~やっぱり言えない」

「なんだよそれ。もういいよ。自分の子供でも女の子だからな。言えないこともあるよ」

「ゴメンね・・・どうしても気になるなら起きたら本人に聞いてみて」

「お前にも言えないようなことをかぐやが言うわけないよ」

家族の心配をよそに傍目からはすやすやと眠っているように見えた。
医師の診察も異常なし。首をかしげるだけでこれと言った措置は取られなかった。

12年前に月へ不時着した国王は、かぐやに仕掛けたバイオメモリーに反応するように微弱な信号を地球に向けて発していた。
成人した惑星かぐやの人間には限られた者だけにテレパシーが使えるように医学的処置を施していた。

高度なバイオテクノロジーだったので、一般には封印していた。
国王は月に残した微弱な信号が必ずかぐやに届くように、首の傷でカモフラージュしたこの技術を生まれたばかりのかぐやに埋め込んだ。
その月からの信号がまだ開封されていないバイオメモリーに反応したのだ。
視力から脳に伝えられた情報と信号が重なり、かぐやが自ら求めてきたとバイオメモリーの中の中枢が反応したのだ。

二日目の朝、傍でうたた寝をしていたボクを揺り起こすかぐやの姿があった。