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われら男だ、飛び出せ! おっさん (第一部)

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 とにかく頑張っている姿を見せて、気合で引っ張って行く。
 剣道は子供の頃に経験する者も少なくはない、県警でも子供対象の教室を開いているし、なかなか盛況でもある。
 しかし、中学、高校と続ける者はそう多くないのも現実だ。
 団体戦と言う試合形式はあるものの、競技そのものは一対一の個人競技である上に、精神修養という一面も強いので、遊び半分に続けられるものでもないし、球技のようなチームプレーの楽しさ、ボールを扱う面白さには欠ける。
 それでも青陽高剣道部がそこそこ活況を呈していたのは、優作が発するあふれんばかりの気合にあった。
 とにかく気持の良いほどの気合、それに触れ、子供の頃に出会った剣道に戻る者も多かったのだ。
 しかし、自分でも言うように教えるのはあまり得意ではない、優作の指導はかなり感覚的なのだ。
 もっともそれは優作に限ったことではない、竹刀の正しい振り方、正しい打ち方と言った基本は教えられるが、相手の隙を見つける、一瞬の隙に乗じて打ち込む、などの感覚は自分で会得するしかない。
 そして、優作は中途半端なことが許せない性格。
 毎年、青陽高にしては大量の一年生が入部するが、二年の時に残っているのは一握りなのが現実、しかし、残った部員は優作の気合にほれ込んで残った者たち、優作にはそれで充分だった。
 優作はとにかく気合で人をひきつけ、引っ張るが、こぼれていく者を引き止めるようなことはしない、典型的な、いわゆる背中で引っ張るキャプテンだった。