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パパはロボット

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パパと母さんが、こんな向かい合ったままの日常を送っている間にも チームは新しいことをパパにしていた。動作や移動、表情や仕草も そして顔や体つきもどんどん改良されていったんだ。 

母さんの好み? うーん、それはどうかな?
でも、きっとモデルは何処かにいるんだろうな。 
ある日、パパと同じ顔の人が現れるかもしれない。それも面白いかもしれない。
でも…… ぼくはパパが好きさ。

博士は、未来に何を考えているんだろう?

このままでは、ただの精巧なロボットのおもちゃになってしまうと考えた博士。
「凄いことをしてしまった」パパは、淡々とぼくに話してくれた。
でも、ぼくには、動揺というものはなかった。わからない事だったからね。 

博士は、医学博士の知人と協力して調合した染色体で精子を作り上げたんだ。
ぼくは、生まれる前から《男子》と決まっていたんだね。

パパの言葉のままに語ると……
人工授精だけど そこには愛情が感じられなければいけない。
手順の取り扱い説明書に従って 夫婦として結ばれなければいけない。
その後も夫婦として生計をともにしていかなければいけない。

わかる?

母さんは、パパの所有者になる。すなわち婚姻を承諾したそうだ。

博士に説得されたのかな? 
パパは、「母さんがワタシにひとめぼれしたんだよ」と言っていたけど、たぶん本当だね。
母さんはパパのことが好きになったから 結婚したんだよね?  
きっとそうだよ! 
ぼくは、そう信じているんだ。 
だって、母さんを見ているとしあわせそうだもん。 
毎日笑った顔をみるよ。ぼくを叱った日も やっぱり笑顔になっている。

そして、ぼくは生まれた。
みんなと同じように母さんは大きなお腹になってぼくを産んだ。

言っておくけど、ぼくは、母さんと同じ人間、ヒューマンの部類だ。
学校の成績だって ウキペディアの知識の一部でも備わっていればいいんだけど、努力しないといけない平凡な十二歳の男子。好きな人間の女の子もいるんだよ。
パパみたいに情報をインプットできたらいいなって思うけど、みんなと授業を受けて 笑って、走って、時々怪我をして成長していくんだ。 パパにはできないことだって、ぼくはできるようになるんだ。
でも、ぼくがもっと大人になったら、パパや母さんとずっと一緒にいることは叶わないかもしれない。だから、母さんをずっと愛して見守って暮らしていくことは パパの大切なことだよ。

作品名:パパはロボット 作家名:甜茶