小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

遅くない、スタートライン 第4部 第1話 11/2更新

INDEX|3ページ/15ページ|

次のページ前のページ
 

(1)

俺は打ち上げの最中に、そっと辺りを見回した。脱出するなら今だな!荷物はもう宅配便で送ったんだ。打ち上げが始まる前にさ。よぉ動けたわ!俺…気力で動いたと思う。バンド結成して12年が経っていたが、ドームツアーは初めてで無事に終了して、俺もバンド仲間達も嬉しかったが、そこそこに飲まんとね!新幹線のホームの階段昇れんわ。

三ちゃんには、今日の最終の新幹線で帰ることを言っている。打ち上げの関係者やバンド仲間達に付き合ってたら、夜明けまで飲まされちまう。"(-""-)" 俺はごめん…はよぉ帰りたいんや。音も立てずにドアを開けてキャップを被ってエレベーターに乗った。エレベータのドアが閉まる寸前に足音がした。やべ!見つかったかぁ?俺は思わず背中を向けた。乗り込んできた人は…なんと!圭吾兄貴と耕太だった。

「ッゲェ…何で2人で?」
「あぁ…おまえと一緒!俺も帰るぅ。最後まで付き合ってられるかぃな」
「俺もだ…俺はグフッ」圭吾兄貴は両手を口の前に持ってきて、ニタついた。
「圭吾兄貴ぃ…今からデート」と耕太が言った。
「え…圭吾兄貴!九州にそんな人おった?ッデェ」俺は圭吾兄貴に頭を叩かれた。
「何を言うか!あすかがロケでこっち来てるんや。コブなしで!あすかの泊まってるホテル行くんじゃ」
俺と耕太はちょっと顔が赤くなった。圭吾兄貴…結構ストレートだな。

俺と耕太は車を下りて、圭吾兄貴に手を振った。圭吾兄貴はVサインをした。ぶ、Vサインか?( 一一)

「もぉ…圭吾兄貴ぃ!打ち上げ始まってから、酒よりメシばっか食ってた。酒は一口飲んであと他のテーブルにグラス置いてきたわ」あぁ…俺と同じ(*^^*)
「おまえもやろ?」
「うん。今から帰ったらな。最終の新幹線で帰れるし!はよぉ…家帰りたいんや。湊人とふたご娘と奥さんに逢いたいんだぁ!」嬉しそうに言った。
「わかるぅ!俺も美裕とあっくんに逢いたい。美裕のおなかのモアちゃんにもな」
「わかるわかる!あぁ!駅弁買おう!俺…ホテルのメシ食ったけどハラ減った」
「あいあい!あ、俺の分もこうて。俺…あっくんの新幹線の写真撮るから」
「あいよぉ」耕太は売店に向かった。

あぁ…三ちゃんはまたホテルに帰った。三ちゃんまで帰ったらマズイだろ (*^^*)

俺と耕太は新幹線のグリーン車に乗り、耕太が買ってきた駅弁をかっ込んで、片手にスマホを握り(アラームかけて)速攻眠った。俺も疲れていたが耕太も疲れてるんだ。俳優の仕事で海外ロケもあるし、国内にいる時も多種仕事があるからな。でも国内にいる時は週2の休みをスケジュール調整してぶんどっているそうだ。ファクトリーマシャのアーティスト達は自分で仕事スケジュールを組んで、自己管理しているからできることなんだ。俺もそれを見習って、アーティストエリアは自分でスケジュールを組んだ。俺は昨日のドームツアーが終わった時点で、アーティストエリアのスケジュールは5月一杯まで休業だ。美裕の事もあるし作家業の事もあるからな。

俺と耕太は東京駅に着いたのが、朝の5時前だった。もう少し待てば地下鉄の始発電車に乗れるから、近くのコーヒースタンド(24時間営業があるんだな)でまた、モーニングを食べた。地下鉄に乗って耕太が先に下り、俺は窓から手を振った。耕太も振り返してくれた(*^^*) 俺も後5駅!起きてなきゃ!寝たらエライこっちゃ。

私は横に寝ているあっくんの顔を覗き込んだ。パパがドームツアーに出てから、お泊り隊が居ない時は私と寝ているんだ。居る時はお泊り隊と寝たりする。(*^^*)
「起きたらビックリするんじゃない?」
私は昨日の時点新幹線の乗る時間を、パパからラインをもらってたので知ってるが。あっくんは知らない(*^^*)
「さて、そろそろ起きますかね。お風呂のボタンを押さなくっちゃ」
私は手をついてゆっくり起き上がった。モアちゃんはまだ寝てるのかな?まだ6時前だもん。

リビングのリモコンで暖房をつけて部屋を暖めた。誰かさん…寒い寒いって言うんだもん。あんなデカイ図体してね!こむぎとむぎたもくっついてケージの中で寝ていた。私はケトルでお湯をわかし、ブルゾンを着て新聞を取りに外に出た。

「はぁい!新聞」と手渡した人がいた。マサ君ことパパだった。
「お、おかえりぃ。始発で帰ってきたん?パパ」
「うん。ただいまぁ!美裕さん」パパは私に軽く抱きついた。
「はいはい!お帰りなさい!マサ君」
私とマサ君は…玄関の前で軽く唇を合わせた。

「息子はまだ寝てるよね?」
「うん。もう後30分ぐらいで起きるけど?ベッド入って起こしてあげれば?」
「おぉ…いいかも。さ、中入ろう!冷える冷える」

俺は美裕の手をつなぎ、玄関のドアを開けた。

あっくんの驚いた声が家に響いた。パパはこっそりあっくんの寝ているベッドに潜り込み…寝込みを襲ったんだ。いつもあっくんに寝込みを襲われているパパだから、今日は仕返しをすると息巻いていた。(*^^*)

あっくんの喜ぶ声と、パパの嬉しそうな笑い声がまた聞こえたが。次の瞬間から、ベッドの上でミニプロレスが始まった。私とこむぎとむぎたは、2階を見上げた。
「まだ7時前…ご近所迷惑よね?」犬2匹に聞いた私だ。犬2匹は同意したのか、しっぽを振った。
「あ…特別許可!行っていいよ。こむぎ・むぎた」
2匹は私の言葉がわかったみたいで、ダッシュで2階に駆けあがって行った。

「お、おもぉ…あっくん!おりてぇ!こらぁ!こむぎ・むぎた!引っ張るな」
パパにあっくんが背中にしがみつき、犬2匹はジャージのズボンを引っ張っていた。これには私は笑ったわ。笑う前にカメラで撮ったのは言うまでもない。

あっくんは…食べるのとしゃべるのと忙しい。2週間ぶりのパパだから!
「あっくん!ノド詰まるわ!どっちかにしぃ!」とパパに怒られていた。

私はあっくんのお弁当箱をキャラクターの袋に入れて、テーブルの席についた。
「あっくん!今日からパパいるからぁ!早く食べなさい」
「はぁい!ママぁ!パパかえってきたらおやくそくだよ」
「はぁい!帰ったらな」

あっくんはどうやら…パパと約束したらしい。遊びの約束だと思うけど (#^.^#)

「驚かれたわ…」リビングに入るなり、パパは言った。
「誰に?バス停のママ達にでも」
「うん。昨日九州でドームでライブしてたのに!もう帰ってきてるのか?って」
「驚くわよ!普通」美裕は楽しそうに笑った。
「かね?家族愛が強いってことでいいんじゃない?」
「はいはい!お風呂入って寝なさい。パパ」
「うん。あぁ2週間ぶりの家の風呂堪能します。ママも入ろうって言いたいところだけど、風邪引くな」
「うん。朝風呂はね!また今度ね」
「了解!」俺はバスルームに向かった。