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こーぎープリッド
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novelistID. 49902
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ナルの夏休み エピソード0-0

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その場を離れるように注意された




 私の心は、とてもデリケート。北海道の最北端の学園都市で人格検査を行われる。そして、さまざまなむごたらしい映像をみさせられる。動揺すれば合格。動揺しなければ人格が異常。

「戸松さん。やはり、ここにいたののね」
 アイドル育成の関東女学院の南さんは、やはり私の行動を予測した。
「ねえ、変なこと興味をもたないで。中東の深刻な状況を上映する映画は見なかった」
「まだ」
 子供っぽい優しい顔の南さんは険しい表情から安堵の表情へと変わった。
「よかった・・・」
 南さんは、とても40歳をすぎている女性に見えない。

 こどもっぽく、かわいい顔をしているので、そのままアイドルになってもいいような雰囲気がある。なんで彼氏ができないのか不思議である。

「ねえ。今日は計画的に有給休暇を取ったの。あなたがとんでもないことに興味を持つと思って。私の予測だとアラビア語学校だとおもって。予測があたってよかった」
「南さん。この子が貧しい地域の子供たちのためにボランティアをしたいというから」
「その気持ちは十分、尊重しないと。でも、戸松さんの精神では耐えられないの。戸松さんは、どんなにつらいダンスの訓練でも耐えられるけど、残酷なものには、とても弱いの。人それぞれ耐性が異なるから」
「気をつけます」

 私は南さんと一緒に、臨時で精神科の診療所で精密検査を受けた。
「これ以上、薬を飲ませられない。かと言って、脳内にナノマシンを埋め込むことは年齢的に早すぎる」
「先生、どうしますか」
「まあ簡単だ。余計なことをしないように、忙しくさせればいい。高校を卒業するまで。で、15歳から自由に働く権利がある。高校を通いながら芸能界で仕事する権利があるが、それだと、アイドルになるのは狹い門を通ることになる」
「そうですか。では、もう一軒、音楽学校にいれますか」
「そうすると戸松さんの家庭に負担がかかる。では、もっと偏差値が高い高校に入れるしかない」
「わかりました。どうもありがとうございます」
 私も2時間ばかり精神科で精密検査を受けたのでお礼をした。
「ありがとうございます」


「南さん。なんで・・・」
「わかっているわ。何で、このアラビア語学校に来たのか。大人になると直感で、予知できるの」
「予知。まるで超能力者みたい。SFの世界」
「でも、それは訓練をするしかないの。けっしてオカルトではないのよ」

「で、実は幸福な社会は、どちらだと思う」
「それは私たちが暮らしている日本列島」
「ちがいます」
「え!」
「実は幸福という概念だけなら、北アフリカや中東のほうが幸せなんです。だって、人間の脳から大量の幸福物質が日本に輸入されます。ストレスの緩和作用があり、うつ病の特効薬だから。それに、悪人ほどストレスを感じない。見た目が惨めに見えても、自分が不幸という実感がないのよ。だから幸福指数だけでいえば中東のほうがはるかに高いのよ」
「だって奴隷制度に人身売買。殺人事件は頻繁に起きるし、文明も未発達、いや退化している。どうして、そんな社会のほうが幸せなの・・・」

 私は南さんの意見が、理解できない。

「私たちの社会とちがって管理社会じゃない。自分の身は自分で守る。それが中東の宗教全体主義社会なの。ある意味では、誰からも監視されない。でも、幸福な社会と、完成度が高い社会は別なの。私たちは後者なの」

 私は中学1年なので、南さんの言うことがよく理解できない。