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てっしゅう
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「空蝉の恋」 第二十六話

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「洋子さんがお姉さんになって欲しいと思うんです。私は一人っ子だし、これと言って親しい女友達も居ませんし、まして男の人となんか話すことも出来ないんです。お母さんが死んで、閉じこもりになっていたので父が見かねて温泉に誘ったんです」

「そうだったの。洋子はあなたが気に入っているから、いつでも遊びに来て頂戴。あなたは怖いぐらい美人だから男の人が近寄りがたいのかも知れないね。お友達ぐらいからあなたのことを真面目に考えてくれる人を見つけて付き合うこと始めたらいかが?」

私のこの意見に洋子も賛成した。

「私は・・・男の人が苦手です。洋子さんの方が好きなんです」

「ええ?それって・・・」

洋子は困った顔をした。

「おば様、勘違いされないでください。洋子さんと居る方が楽しいって思うということです。恋愛は無関心ではありませんが、大人になってからでいいと思っています」

「今は勉強して考えている大学に行くことが先決って言うことなのかな?」

「はい。私は看護師になりたいと思っています。母の看病をして、その時にお世話になった看護師さんを素敵に感じたんです。母が受けた恩を返したいとも思いました」

「偉いねえ~応援するから頑張ってね」

洋子と顔を見合わせて、私は今時こんな素敵なお嬢さんがいるんだと感心させられた。
夕飯の手伝いをしてくれて、三人でワイワイやりながら食べ終えた頃、お迎えが来た。
あらかじめ父親の佳樹が来ることを聞かされていたので、食べ終える時間を気にしていたが、ついつい延びてしまっていた。

「斉藤さん、これからコーヒーにしようと思っているの。よろしかったらぜひご一緒にどうですか?」

「ええ?ほんとうですか。それではお邪魔したいです」

四人になってさらに話が弾んだ。
午後9時を過ぎて二人は帰ることになった。

「本当に長くお邪魔してすみませんでした。洋子さん、今度は私の家に遊びにいらしてください」

「うん、ありがとう。その時はよろしくね」

「はい、楽しみにしています。おば様、それでは失礼します」

佳樹は何か言いたかったが、娘の前だったのでやめた。
後片付けをしてテレビを観ていると、恵美子からラインが来た。
それは和仁から頼まれて送ってきた。
私が詳しく話さないから不信感が募っているらしい。訳を話すからと返事をして、和仁へ夫との離婚話を伝えた。