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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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LOVE BRAVE外伝 第1話

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 入り口の前で、作者はノリノリで話しだした。
「今から、皆様をこの『シークレットベース』の内部見学にご案内しま〜す♪」
 ジミーとスティーブンは、軽く
「イェーイ」
 と合いの手を入れた。
「まず、ギャラリーを見ていただきまして、その次にライブさながらの演奏ができますセッションルーム、それと広〜い食堂に、プライベートを確保できる個室もご覧になれますよ〜」
 最初は無表情だったヒューゴも、話を聞くうちに軽く笑みを見せた。
「最後に、展望ルームからのいい景色を見て、内部見学を終了致します」
「展望ルームは、俺、パス」
 ヒューゴは首を細かく横に振りながら言った。
「あぁ、高所恐怖症のヒューゴくんはパスでいいですよ。それと内部は結構広いですので、はぐれないようにご注意くださいませ」
 「はぐれないように」という言葉を聞いて、3人はなぜかスティーブンのほうを見た。見られたほうは苦笑い。それでも4人はうなずき、作者の後に続いてこのお城の中に入った。


 作者の説明どおり、彼らは最初にギャラリーに案内された。そこには何と、LOVE BRAVE一人一人の肖像画が飾られていた。
「ははっ、僕らの肖像画がある。しかもそれぞれピンで」
 フィルが笑みを浮かべながら言った。
「こうして絵になると、何か照れるよな」
 ジミーも彼に同調して言った。そんな彼らを見ながら、作者の話は続く。
「これらの肖像画は、あなた方がこの秘密基地の使用者であることの証明です。これだけ絵になるくらい、皆さんカッコいいですよね〜」
「いやいやいや…」
 もはや4人とも照れている。

 そうしていると、妙なことが起こった。LOVE BRAVEのメンバーの肖像画の横にある四角い窓のようなものに、1人の老人の姿が映ったのだ。そしてあろうことか、彼はこう言ってきた。
「何だおまえたち、随分と耳障りな話をしてくれるじゃないか」
 LOVE BRAVEは、一斉にその老人のほうを見た。
「えっ、誰?」
「この人確か…音楽プロデューサーのベン・ドレークさんじゃないか?」
「あんまりいい評判を聞かないな」
 メンバーは口々に言った。
「あら、音楽プロデューサーのドレークさん。何かご用かしら」
「ふん、この建物はこやつらのためのものではない」
 ドレーク氏の発言に、その場に居た全員がムッとした。
「彼らのためのものじゃない、ですって?どういうことでしょう」
「ふっ、この城の本当の住民を、こやつらは知らないようだな」
「本当の住民?」
「こいつらさ」
 ドレーク氏がそう言った直後、部屋が暗くなり、天井に閃光が走った。LOVE BRAVEと作者は、身を縮ませて目をつぶった。


 目を開くと、LOVE BRAVEの肖像画がとんでもないことになっていた。
 フィルの肖像画は、鋭い爪と牙を見せ、恐ろしいぐらいに目をギラギラさせている二足歩行の大きな黒猫の絵に、ヒューゴの肖像画は、悪そうな目つきで大きな口で笑う半裸の巨人のような怪物の絵に、ジミーの肖像画は、帽子をかぶった間抜け面だが意地悪そうに笑う幽霊の絵に、スティーブンの肖像画は、筋骨隆々の全身真っ黒でトンガリ耳の悪魔のような外見の怪物の絵に変わっていたのだ。
「僕らの絵が…」
 フィルは悔しそうに言った。その横で、作者は果敢にもドレーク氏にタメ口で言い返した。
「やだ、キモいしダッサい絵…。大体、こいつらみんな実際には居ないんでしょう?」
「いやいや、そいつらは本当に存在する。この城の地下にな」
 作者は、LOVE BRAVEのリーダーのほうを向いて言った。
「フィル、このけんか、買っていいですよね」
「うん、いいよ。ただで売ってきたからね」
 いつもは穏やかなフィルも、今回ばかりは怒り心頭のようだ。

 すると、隠し扉が勝手に開いた。
「地下への扉か」
 フィルがぼそりと言った。スティーブンは、おびえた顔でヒューゴの服の裾を軽くつかんだ。ジミーは、口を真一文字にした。
「われわれとこやつらのどちらがこの城にふさわしいか、決めようではないか」
 ドレーク氏は宣戦布告した。作者は、メンバー一人一人に気の強い眼差しを向けた。
「大丈夫です。皆さん、恐れずに行きましょう。このバンドの名前は何ですか?」
 フィル、ヒューゴ、ジミー、スティーブンは、声をそろえて自分たちのバンド名を叫んだ。
「「「「LOVE BRAVE!!」」」」
「そうです!その名のとおり、『(メンバー間の)愛』と『勇敢さ』をやつらに見せつけてやりましょう!」
「「「「イエーイ!!!!」」」」
 作者の熱い言葉に、彼らも拳を上げて熱く答えた。

 出発前に、スティーブンは首に提げている3連リングを握り締め、少し下を向いてしばらく目を閉じた。そして作者の先導で、4人は地下へと続く階段を下りていった…。