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社会に不適合な二人の

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不識は身を滅ぼす


 私も弟も車の免許は持っていますが、車には興味が無く、車の知識は殆どありません。
 ジェレミー・クラークソンは「人体に興味がない人間に手術ができるか?」と言う皮肉で車に興味がない人間に車を運転させるなと発言しましたが、
 その基準から言えば、私たちは車を運転するべきじゃない二人でした。
 一応、この文章を書いている現在では事故を起こしたことはないのですが、分かるような気がします。

 私が大学から電車で帰ってくるときに雨が降り始めた日のことです。
 急の雨に傘を持っていなかった私は弟に駅に迎えに来て貰えるように頼みました。
 到着予定時刻の時間を伝えてちょうど来て貰うようにしたのですが、私が乗り換えを一本乗り遅れたことで弟に三十分ほど待たせることになったのです。
「すみません、お待たせしました。」
 駅に着いた私は、車の中で待っている弟に謝りながらドアを開けたところで弟は身震いするふりをしてきました。
「さむいなー、暖かい物が飲みたいなー。」
「はい。」
「暖かいお茶が飲みたいなー。」
「すぐもって参りますっ。」
 私がお茶を買って手渡すと、「さてと」と弟がキーを回してエンジンを掛けようとしたところで、ウウウと奇妙な音が鳴りました。
「えっ。」
「え?」
 何度キーを回してもエンジンに火がつく様子はなく、知識のない私たち二人は訳の分からないまま、冬の寒い雨の中で立ち往生することになったのでした。

――――
[ジェレミー・クラークソン]…イギリスBBCの有名なジャーナリスト、車批評家、本当に子どものまま体も年も大きくなった人。
[立ち往生]…結局、理由は弟がエンジンもつけずエアコンをつけてたためのバッテリー上がりだった。

作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮