「空蝉の恋」 第二十三話
次の日夫が東京へ帰って行ったあとで、洋子と話をした。
娘は驚いたように語気を荒げる。
「パパはね、ママを見張るような真似をして、自分は何をしているのか解らないくせに卑怯だよ。離婚してやればいいよ。後々困るのはパパの方だから」
「洋子、離婚するのが嫌だからいうわけじゃないけど、この年で離婚しても再婚したい相手が居るわけじゃないし、何の得にもならないって思うのよ。パパが別居するというならそれで構わない。洋子のことが落ちついたら、私は別の道を考えられるかもしれないけど」
「何言っているの、そんな弱気で。ママがいたからパパは今こうして偉そうにしていられるのよ。東京にずっといるというならここの家はママが貰って離婚すればいいんじゃないの。私も居るし、心配なんかないよ」
「ありがとう。あなたに負担はかけられないよ。離婚はしない。パパが何をしようとも口出ししないから、私もパパには干渉されたくないってはっきりと言うわ。もしパパに彼女が出来て再婚したいと言った時は、きちんと裁判をして財産分与してもらう」
「へえ~ママ、考えているじゃない。ひょっとして、この前ライブに来てくれた男の人と仲良くしているの?」
「何っているの!パパみたいなこと言わないで」
「パパがママの友達に嫉妬して離婚って言ったんだよね?そういう事実があったということじゃないの?」
「あなたには言うけど、恵美子さんに誘われて和仁さんと白骨に行ったことは確か。混浴のお風呂でパパの知り合いという男性に見つめられていたから、きっと私が不倫旅行していると言いつけたのね。確かめもせずによ。四人でお部屋に寝泊まりしたけど、何もなかったというのが本当のこと」
「そうなの。男女がお友達同士ということ事態、パパには信じられないことなのよ。私はママを大切にしないパパはその事を咎める資格が無いと思う。和仁さんって言うのね、男性のお名前は。優しそうな素敵な方だと思うわ。私に一度会わせてくれない?」
「ええ?あなたがどうして会いたいのよ」
「ママの事お願いするの」
「何言っているの!信じられない」
「お友達なんでしょう?だったら別に構わないと思うけど」
「それは、そうだけど」
娘の洋子が何故和仁に会いたいと言ったのか解らなかった。
このときは単に興味本位なのだろうと考えていた。
東京へ戻った春樹は、さっそく彼女の千聖に会っていた。
娘は驚いたように語気を荒げる。
「パパはね、ママを見張るような真似をして、自分は何をしているのか解らないくせに卑怯だよ。離婚してやればいいよ。後々困るのはパパの方だから」
「洋子、離婚するのが嫌だからいうわけじゃないけど、この年で離婚しても再婚したい相手が居るわけじゃないし、何の得にもならないって思うのよ。パパが別居するというならそれで構わない。洋子のことが落ちついたら、私は別の道を考えられるかもしれないけど」
「何言っているの、そんな弱気で。ママがいたからパパは今こうして偉そうにしていられるのよ。東京にずっといるというならここの家はママが貰って離婚すればいいんじゃないの。私も居るし、心配なんかないよ」
「ありがとう。あなたに負担はかけられないよ。離婚はしない。パパが何をしようとも口出ししないから、私もパパには干渉されたくないってはっきりと言うわ。もしパパに彼女が出来て再婚したいと言った時は、きちんと裁判をして財産分与してもらう」
「へえ~ママ、考えているじゃない。ひょっとして、この前ライブに来てくれた男の人と仲良くしているの?」
「何っているの!パパみたいなこと言わないで」
「パパがママの友達に嫉妬して離婚って言ったんだよね?そういう事実があったということじゃないの?」
「あなたには言うけど、恵美子さんに誘われて和仁さんと白骨に行ったことは確か。混浴のお風呂でパパの知り合いという男性に見つめられていたから、きっと私が不倫旅行していると言いつけたのね。確かめもせずによ。四人でお部屋に寝泊まりしたけど、何もなかったというのが本当のこと」
「そうなの。男女がお友達同士ということ事態、パパには信じられないことなのよ。私はママを大切にしないパパはその事を咎める資格が無いと思う。和仁さんって言うのね、男性のお名前は。優しそうな素敵な方だと思うわ。私に一度会わせてくれない?」
「ええ?あなたがどうして会いたいのよ」
「ママの事お願いするの」
「何言っているの!信じられない」
「お友達なんでしょう?だったら別に構わないと思うけど」
「それは、そうだけど」
娘の洋子が何故和仁に会いたいと言ったのか解らなかった。
このときは単に興味本位なのだろうと考えていた。
東京へ戻った春樹は、さっそく彼女の千聖に会っていた。
作品名:「空蝉の恋」 第二十三話 作家名:てっしゅう