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てっしゅう
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「空蝉の恋」 第二十二話

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白骨温泉で出会った若いカップルは女性が結婚している不倫だった。
たとえ別居しているとは言え世間的には許されない付き合いだろう。

夫婦の間に何があったのか計り知れないが、彼女をここに連れてこさせた思いは彼への強い気持ちと、夫から逃れたいとの思いが重なったのだろう。
それとも若さに任せて抱かれたいと思ったのだろうか。
自分に置き換えて考えてみると、何故徳永や和仁と二人で会い、手を繋ぎ、キスまでしたのか驚かされる。

夫への愛情は失われていても、不道徳なことを自分がするとは考えられなかった。
たとえ夫が目の前で他の女性と仲良くしていても、その腹いせに自分も浮気をしてやろうなどとは考えない性格だと思ってきた。

だとするとこうして和仁の行為を受け入れていることは、つまりいつか抱かれたいとの思いが心を動かしているということなのか。
徳永へも、いつでも抱いてくださいと返事をした。やがて和仁にもそう返事をするのだろう。
そんなに抱かれたいのか?そんなに寂しいと思ってきたのか?

思い起こせば東京でのあの夜、夫が先に寝てしまって悔しい思いをしたときから、自分の心が少しずつ変化している。
混浴で見せられた和仁の逞しいからだや、徳永の激しいキスは、心の奥にある性欲のスイッチをオンにしたのかも知れない。

更年期を前に男性ホルモンの影響で性欲が強くなるから、この年代女性の不倫が増えるとも聞く。
まったく私に当てはまっているではないか。そして、夫との行為がなくなってしまった以上、残された道は徳永であり、和仁なんだと考えてゆく。

背徳行為に反省する自分と、目の前の優しい和仁に抱かれてもいいという自分が存在する。徳永のことは男性として好きになっている。彼のために自分が尽くしてあげようという気持ちが強い。和仁にはその逆に自分が癒されたいと思う部分がある。彼の優しさや、仕事ぶりに頼れる男性との思いが映る。

旅行から戻ってきて、家に着くとなぜか夫が在宅していた。
ちょっとびっくりして理由を聞いてみると、

「自分の家に帰って来るのに理由なんか要るのか?」

と皮肉って答えた。
私は相変わらずの人だなあと心で思い、そのあとは無視した。
夜になって夫は部屋に来て欲しいと言った。まさかと感じたけど、入浴を済ませて応じることにした。

「勘違いするなよ。したいわけじゃないからな」

「そんなこと言わないでください。惨めです」

「何故だ?他で満足しているからおれとはいいだろう」

「いま何と言われました?」