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半夏生の朝

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 女はこの状況を説明してほしいと目で訴えた。こんなにも精いっぱい尽くしているのに、と。しかし、教授は、女の火照りきった体を無視して、執筆を再開した。

夏至の朝、執筆完了とともに、性的不能者の性欲は再開される。
教授は解説して、
「人間は、初めはみんな、性的不能者なんやね」
女に処女膜があり、男は包茎だと、それでも性欲は生まれてくる。さて、女はインポテンツの男性との初めての体験にどうしてよいかわからず、しばらく観察することにした。


黒いミニスカート、腰まで伸びた長い髪、目立たないわけがない。教授が来店すると、ていねいに頭を下げてあいさつした。
教授は閉店まで、飲んでいた。
「遅くていいのですか」
「しまいまで付き合うわ」
「わかった」
他人には悟られないよう、小さな声で約束を交わした。
二人きりになった。
女が後かたずけを終わるを待って、
「やりたい」
教授が言う。その言葉に返事をすることなく、女は店の奥に向かった。服を脱ぐと裸になった。追いかけてきた教授を椅子に座らせて、股間に割って入る。教授がシャツをたくし上げる。
女が一番、お気に入りのやわらかい男根を舐め始める。教授は女の裸の胸に手を伸ばし、乳房をもむ。
「ええなあ、場末の感じがええな」
「先生、なに、考えてるんですか」
「ロンドンの下町や」
「ほんまに」
「うそや」
「変な人」
「かたくなるな」
「そうなの、そうか」
女はさらに熱意をこめた。
「ねえ、入れてみて」
女は教授を促した。教授は花芯の入り口でもたつくが、何とか押し込んだ。
女の方は柔らかくてすっと入る。
「さっきから感じていたの、ずっと」
「場末の売春宿みたいや」
「そんなとこ、ロンドンにあるの」
「忘れたわ」
「いったことあるんでしょ」
「ない、ない」
「ねええ、私の使って、使って気持ちよくなって」
「店で裸にして犯すのがええなあ」
女も負けずに次々と言葉を繰り出す。
店でのセックスは危なくて、盛り上がった。教授のマンションとはまた異なる刺激がある。


女の舐め方が違っていた、男は気が付いたのか、
「男ができたんか」
男の言い方が断定的で、いかにも上目線だったこともあり、思わず
「できたわよ」
と唇を尖らせて言い切った。親か生活指導の教諭に言われ方だった。
「なにい、こら」
「関係ないでしょ、あなたには」
「おい、こら、関係ないとはなんや」
男が顔を叩く、からだが揺れる。予期していたことだった。
「うーうー」
とうなって、我慢する。痛みとともに別の何かをがまんしている。女は目を閉じて、口を硬く結ぶ。男は腰まで伸びている髪をつかんで振り回す。
「もうやめて」
「この野郎、女のくせに」
両手で頭を抱えて、うつぶせになる。男が足蹴にする。顔つきがすっかり変わっている。本当に怒らせてしまった。
女は全く抵抗せず、無言になった。好きにして、と投げやりな態度を示している。抵抗しない女はつまらない、男は女の異変に不安になったのか、ドアの前に立ちふさがった。
「なあ、別れんといてくれ」
男の暴力から逃げようと、女はよく部屋を飛び出すのだった。男は、女が飛び出しても行くところがないので、必ず戻ってくることをわかっている。しかし、今日は様子が違う。出て行って、戻ってこないかもしれない。
男が女にしがみつく。そして、泣きはじめる。すさまじい暴力のあと、一転して、泣いて謝る。女はもう、男に暴力を振るわれることがないとわかって、状況転換を図った。
「私、今の生活に満足している、感謝してるから」
「そうか、そうなんか」
もう、男とは五分だ、自信でいっぱいである。これからは、男に左右されることはない、セックスもうまく対象化できる、自立できるのだと、女は考えた。この男の知らないところへ歩みだすのだ、と心の中でつぶやいた。
思うに、男のエネルギニーにじっと耐えている時も、男の単純さに気が付いた時も、いずれも、女が自分自身をコントロールしていることに変わりがないのだ。そう考えることができるようになれば、男性観が変わってくる。セックスの全過程を重層的多面的にリードしているようになれる。
思うに、男のエネルギニーにじっと耐えている時も、男の単純さに気が付いた時も、いずれも、女が自分自身をコントロールしていることに変わりがないのだ。それは、女をセックスの全過程を重層的多面的にリードできるようになる。
しかし、女は決して穏やかな別れは期待できないこともよく分かっているのだった。


教授のまなざしが熱くなっている。
教授は夏至のあと、再びやってきて、店のドラムをたたき、女のピアノを盛り上げた。
客たちも盛り上がっている。
演奏の後、教授が口説いてくる。
「ええ女や、ほんまに、ええ女や」
教授との関係を知られてはまずい。あまり言葉を交わさないよう、自分を抑えた。
女は男が与える苦痛がどうして必要なのかと自問する。男とのことは、愛ではない、似ているがちがう。教授が、えせ、と説明していた。
幸福感はどこからもたらされるのか、なにか純粋なものがあるのだろう。沈黙にもう慣れている。ボキャブラリーが少なくてとにかくしゃべれないから、黙っているだけかもしれない。
ふと、夫を思い出した。夫のセックスは完全試合の投手のように相手を圧倒している。教授とはちがうし、男とも全く異なる。
「違うやろ、わかるやろ」
と教授は言うのだろう。
あの男は、私たちがどういうふうに交じりあうのか、本当にわかっているのだろうか、どうしてセックスを話させないのか、と思う。自信があれば、何でもないことだし、楽しいことなのに、と強くなった女は自分を自己評価できた。
錯覚なのか
「あなたを愛しているわよ」
誰かにつぶやいた。

縛らない、ぶたない、命令しない。ベッドがきしむ、熱い。ふたりの鼓動が交じり合う。
ひもを取り出そうとする予感、痛みを感じる予感、自分に向けられる男の執拗さ。


夫とのセックスはある意味、乱暴だった。それでも家庭が成り立つから、不思議な感覚だった。乱暴でない、家庭の匂いのしない男女の関係は存在するのか。

教授はまったく違う。いやな事はしない、してほしいことをしてくれる。まるで弟子の気分だ。一生懸命、何でもしてあげたい、と思う。
「二番目でよいから」
と教授は口説いてくる、その真意がわからないが心地よい。
閉店後、落ち合って、南禅寺のホテルへ行く。時間をかけて舐め、立たせる
鉛筆を持つその手で、乳房をつかむ、教授は最初に何という言葉を発するのだろうか
汚い雌ブタか、足を舐めろか、股を開けか、教授のためにありとあらゆるポーズをとる。
「毛、なあ、剃ってもええか」
「ええよ」
教授の剃刀の手先が狂って、傷つき出血して、浴槽が鮮やかな赤に染まる。
教授は
「ごめん、ごめん」
と謝っている。女は何も答えなった。シャワーをかけて、洗うとメンソレータムをたっぷり塗り込む。処置が終わると、教授は熱い湯を花唇にかける。
スケスケのランジェリーが用意されていた。
「着てみて」
と頼む。
姿見をみながら、着替える。
Tバックだった。
「腰にこの鎖を巻いてくれ」
「歩いてみて」
まるでストリップショーの舞台だ。
「Ⅿちゃん、今日も来たよ」
作品名:半夏生の朝 作家名:広小路博