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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「空蝉の恋」 第十話

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旅行に連れて行けなかった彼女のことが気になったのか内田春樹は三日の日に東京へ戻っていった。
新幹線改札口で待ち合わせをして、そのまま山手線で鶯谷まで行き、ホテルに入った。

一緒の女性は千聖(ちさと)と言い、バツイチ四十代後半のややぽっちゃりした美人だ。
妻の佳恵とは真逆の色っぽさがにじみ出ているタイプで、刺激的な営みに春樹は心を奪われていた。

この日も怒ったように責め立てられ、「まだよ!まだ」と苛められていた。
大きく深呼吸をしながらベッドで行為を終えると、自分と千聖との年齢差を強く感じていた。

「歳なんだから、激しくするなよ、もう」

「何よ!奥さんと頑張ったくせに」

「そんなことするわけないよ。部屋は別々だったし」

「ウソ!調子のいいことばっかり言って」

「嫉妬深いやつだな~おれが妻と仲良くないことは話しているだろう?」

「ふん、男の人はみんなそう言って女を騙すのよ」

「おいおい、みんなとは聞き捨てならないぞ!お前おれ以外に浮気しているな?」

「違うわよ!そう言う人ばかりってみんな言うし、過去の人もそうだったから言ったのよ」

「過去の人か・・・おれもやがてそうなるな、ハハハ~」

「バカ!春樹さんが好きだから、奥さんがいてもこうしているのに・・・」

さっきまで怒った顔をしていた千聖は、そう言うと涙をこぼした。
男にはこういう仕草がたまらない・・・

「すまん、言い過ぎた。おれが好きなのは千聖だけだよ」

「ほんと?信じていいのね?」

「ああ、信じていいよ」

二度目を求められ、疲れた体に鞭打って春樹は応じていた。


所変わって、佳恵とコーチがいるレストラン。

コーチの名前は徳永と言った。

「徳永さん、お聞きしてもいいですか?」

「はい、何でもどうぞ」

「どうして私を食事に誘って戴けたのですか?」

「言わないといけませんか?ご一緒したかったというだけではおかしいですか?」

「では、私以外の人ともこうしてお食事されていたのでしょうか?」

「それはどういう意味で聞かれましたか?」

「どういう意味って・・・そのう、女性と二人でお食事されているのかと」