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HAPPY BLUE SKY カッジュのバースディ

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俺は自分のプレートのシュリンプをカッジュのプレートにフォークで乗せた。
「ありがとう‥クゥの好きなコレあげる」
カッジュのスプーンはパプリカをすくったが‥
「要りません。好き嫌いしないで食べなさい」
「はぁい‥」カッジュはパプリカを自分のプレートに戻した。

デザートを俺の分まで食べたカッジュは顔をほころばせていた。
「ね‥25歳だよね。その顔‥ティーンエィジャーに見えるよ」
「いいの。美味しい物には素直にならなきゃ‥もう2個食べたいな」
カッジュは俺の顔を見て笑ったが‥
「ダメ!まだお楽しみがあるから‥お腹空けといてくれよ。カッジュ」
「何それ?」カッジュは不思議そうな顔をした。

私は目の前にあるミニ・バースディケーキに、また顔をほころばせていた。レストランを出た後に最上階のスカイラウンジに行った。私達が席に着くと支配人がクゥの元に挨拶に来た。クゥのお父上様のお知り合いのようだ。クゥもまた面識があり親しそうに話をしていた。支配人が席を離れると、クゥは右手を伸ばして私の左手を軽く握った。
「ミニ・バースディケーキだけど、君と二人でお祝いがしたくて支配人に頼んだんだ。バースディケーキのキャンドルを消す前に、君に話があるんだ」

支配人の心遣いで、俺達はラウンジのボックスに席を移した。カッジュには俺の腕をしっかり握らせて歩かせた。俺も顔が赤いが、カッジュはそれ以上に顔が赤かった。また、支配人の心配りで俺達に特製カクテルをプレゼントしてくれた。またその特製カクテルとミニ・カードが添えられていた。カッジュはそれを見てますます顔を赤くした。
「体中の血液が沸騰したらどうするんだ。カッジュ」
「‥するかもしれません。でも‥嬉しい」
クゥは私の肩を軽く抱き寄せて耳元でささやいた。またその言葉が、ますます私の顔を赤くさせたのだった。


玄関のドアを閉めるまで、クゥは下から私の部屋を見ていた。私はドアを閉める前に手を振った。またクゥも手を振って私がドアを閉めるまでそこに居た。ドアを閉めてから、クゥの車のエンジン音が聴こえた。いつもそうだ‥私が部屋の中に入ってから、クゥは車を発進させて、自宅に帰るのだ。私は玄関をロックしてから左の薬指を見た。ラウンジでバースディケーキのキャンドルを吹き消した時の事だ。

「カッジュ‥左手出して。そして目を閉じてください」
私は言われるままに目を閉じた。目を閉じてから、何か指を通った感触があった‥
「開けていいよ」
目を開けてみると、左手の薬指にリングが通っていた。
「カッジュのイメージかなって思って選んだんだ。そのリングの意味わかる?」
私の顔は赤くなった。また耳までも赤くなったのが自分でもわかる。私でも知っている。私の指に通ったリングはダイヤモンドだった。
「カッジュは来月から新部署で働く。これから忙しい日々が続くと思う。その前にお返事だけもらえたらなって。仕事が落ち着いてからでいい‥俺と結婚してくれませんか?10歳年上の彼氏は待ってますから」クゥは私の左手に軽く自分の手を乗せた。
またクゥは、私にこう言った。
「よく考えてお返事下さい。一生の問題だから。もしカッジュの答えがNOだったら‥っぐ」
俺はまた例のごとくカッジュの手で口を押えられた。この形式は‥もしや?
「どうして‥いつもそうなの?クゥは」カッジュは赤くなりながら言った。
「‥‥お返事していい?今‥ここで」
俺は口を押えられたまま、何度もうなづいてしまった。

カッジュの部屋のドアが閉まってから車を発進させた。ラウンジでカッジュにプロポーズして承諾の返事がもらえた。すぐに返事をもらえるとは思ってなかった。またカッジュと交際してからは俺はカッジュの事になると、どうも臆病になってしまう傾向がある。俺もこの年だから、カッジュ以外の女性と交際した事はある。でも、過去の彼女達は俺をこんな気持ちにさせた事はなかった。
「親父に報告しないとな。あぁ‥でも報告したらすぐにでも式を挙げろってせっつくかもしれんな。あの親父の事だからな。ま‥カッジュを見せたら親父も気に入るさ。うちのジィさん達がそうだから。ックク」俺はハンドルに顔をつけて笑ってしまった。

その時だった‥
俺は気づかなかったが、マンションの物陰から、カッジュの部屋を見上げている人物が居た。そう‥それはカッジュの親父さんだった。それがわかるのは後日の事だが‥

私は帰宅した事をさとに知らせた。さとがコタロウをダッコして部屋に上がって来た。コタロウは私の顔を見て胸にダイブしてきた。それもキュンキュン鳴きながら!
「このマザコン柴犬は!たった1日じゃないか!あぁ‥お留守番のお土産は?」
私に手を出したさとだった。
「‥‥それ」さとは私の左手を指さした。
「うん‥頂いちゃった。クゥから」
赤くなりながらも、私はさとにクゥからプロポーズされたことも話した。
「かっちゃん!おめでとう‥ま、こんな展開になるかとは思ってたけど。クゥ兄貴やるね!バースディにプロポーズですか‥あぁ!」さとは声を上げた。
「な‥何よ!」
「ミラド先生の予想大当たり!っと」
口を押えたさとだったが、私の糾弾に負けて口を割った。クゥにすぐメールをしたが、もう寝てしまったのか返信がなかった。
「明日の朝‥キレちゃだめよ。フィアンセのクゥさん」
私は携帯電話に額をつけて、ため息をついた。でも‥顔は笑っていたけどね。

翌朝、支部に出勤した俺は部室のドアを開けた途端から嫌な予感がした。ソファにコイツが座っていた。マブダチのミラド先生だ。またヤツは俺の顔を見てニタッと笑った。アーノルド少佐は俺に首を振った。【抵抗するな】か?俺はミラドとTOP3人・部員に取り囲まれた。またヤツらは何か後ろに隠し持っているみたいだ。一体何なんだ?