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HAPPY BLUE SKY 中編

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お互いの気持ち【1】



ミラド先生が部室にやって来た。この頃はよく部室に顔を出す先生だ。ま‥私のスポーツドクターでもあるから、私を口実に部室にサボりに来てるんだ。また‥運の悪い事にキッチンでの出来事をミラド先生に見られた。私はインタビューの時に、出版社の担当者と同行していたメイクアップアーティストさんに言われた。
「メイクさせてもらっていいですか?もう少しポイント絞ってもいい?」
彼女は私の返事を聞かずにメイクを手直しした。私なりにメイクに気を遣ったつもりだったんだけどな。これでも‥‥またスタイリストも同行していて撮影用の服に着替えさせられた。普通のパンツ・スーツではイケナイの?これも私にしては奮発したのにな!

プロに手を入れられた私の姿を見てヘッド・コーチは驚きの声を上げた。

「滅多に見る事がナイお姿だ。勿体ないからそのまま部室に帰れば?」
と言った。私自身もそれを認めていたので、そのまま部室に帰ったのだ。ドアを開けた途端に、ゲイル先輩に目ざとくチェックを入れられてしまった。ゲイル先輩のテンションの高い声を聞いて、キッチンで頭痛薬を飲んでいたボスが怒ってカーテンを開けた。ボスは私の姿を見て1分程フリーズ状態だった。ゲイル先輩がボスの腕を軽く叩き、現実の世界に戻したのだ。また‥その時あのボスが咄嗟に言葉が出なかったのだ。それをミラド先生に見られてしまったのだ。私はミラド先生が口を開く前にその場を離れた。ゲイル先輩も同様にその場から逃げた。残されたのは、ボスだけ。ミラド先生は同期ダチの顔を見て、ニタッと笑いそのままカフェテリアに同期ダチを拉致した。

「カッジュぅ。オンナだったんだな!またメイクもヘアスタイルもよく似合ってたな。おまえ‥あんなカッジュ見たことないんだろう?オフの時だって、あのオンナはジーンズにコットンシャツだ。あぁ‥ワンピ姿1回だけ見た。ベージュのボレロ付きだ」
「あぁ‥あのワンピは俺が‥っと」
言いかけて黙ってしまった俺だった。でも遅かった‥俺は同期ダチにまたニタッと笑われて、ゲロさせられた。コイツはそういう尋問が得意なヤツだった。また俺の顔を見て、ミラドが言った。

「おまえ‥今までオンナに服をプレゼントした事あった?俺が知る限りでは記憶にないがね。あのベージュのワンピかわいいかったな。またよく似合ってたしな。おまえのセンスも中々じゃないの。いつプレゼントしてやった?」
「‥‥訓練校の卒業祝いに。もう3年経つのに、大事に着てくれてるみたいだ」
「そりゃ嬉しいだろうよ。おまえさ‥気づいてる?おまえ自分の気持ちに気づいてるよな?さっきのアレは‥まさにそうだぜ。カッジュも顔赤かったぜ」
俺はミラドの言葉が信じられなかった。カッジュ‥顔が赤かったって?

俺は自宅の書斎部屋でまた物思いに耽っていた。この頃このパターンが多いんだ。

イヤ‥あの日以来だ。カッジュが俺の胸にダイブして、カッジュの顔をこの手で触り、至近距離でカッジュの顔を見た時からだ。俺はその残像が今も脳裏に焼きついて頭の中から消えなかった。仕事中はセーブできていたが、今日はキッチンでカッジュの姿を見てセーブができなくて、フリーズしてしまった。こんな事はなかった俺なのに‥ジュニアのガキじゃあるまいのに。

「ヤバイかもしれん‥最近カッジュがオンナに見える。訓練生時代から2年目までは【男の子】として見れていたのに。今日のカッジュは‥‥キレイだったな。来月で24歳だもんな。一番綺麗な時期じゃないか。元々素材はいいんだ‥彼氏いるんだろうな。公表はしてないけど。あぁ!!34歳のオジンなんか眼中にないって!」
俺はそんな事を喚きながら、デスクの上で頭を抱えていた。
作品名:HAPPY BLUE SKY 中編 作家名:楓 美風