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HAPPY BLUE SKY

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配属先の決定 その1


NATOCファイン支部に研修に出てからも2ヶ月半が経った。

私はファイン支部に行く前に教官室に呼び出された。実習期間中に教官室に呼び出される事は訓練生にとっては【アンラッキー】とも言われている。ヘタすると研修先から【実習停止】を言い渡される事がある。でも私が呼び出された理由はそれではないようだ。そしてボング教官から書類を手渡された私だった。

私は書類を目の前にして考え込んでいた。
「第一志望の実習先から訓練校に打診があれば希望はあるね。また部署によっては事前スカウトもあるって言ってたぞ」
夕食時のカフェテリアで隣の訓練生がしゃべっていたのを私は耳にしたのだ。私は書類をの前にして深いため息をついた。

「打診ね‥少佐もアーノルド指導教育係・ビリー副指導教育係も何にも言ってくれないもんね。私がもう少しで実習が終わりってコトわかってわかってるのかな?今日だって」

私は訓練校の後にファイン支部に行った時の事だった。正面玄関を入って非常階段のドアを開けた時だった。原則として【全職員・訓練生はエレベーターは使用禁止】だから、いつも部室のある5Fまで私は階段を使っていた。その上の階から足音が聞こえてきた。それも数名‥なんだか騒がしいし。どこの部署だぁ?

その騒がしい声の中から聞き覚えのある声が聞こえた。
「カッジュのガキんちょ!今日に限って何で遅いんだ?」
「あぁ‥カッジュから連絡がありまして。教官室に呼び出し食らってるから少し遅れるって電話入れてきましたよ。何でもフォン部長先生直々のお呼び出しとか」
「あのガキんちょ!訓練校で乱闘でもしたのか?またさ、ここでしてることがフォンの親父の耳に入ってみろよ。退学もんだぜ!ッハッハ」笑い声も聞こえた。

この声は少佐とアーノルド指導教育係だ。

「し‥少佐!そんなこと言うんですか?少佐がやれって言ったんじゃないですか!やらんと【実習即中止】って脅かしたの誰ですか!」
私は手をワナらせながら階上に向かって叫んだ。

少佐は階段の手すりから下を覗き込んで私に言った。
「お!ガキんちょカッジュ!いい所に来たな。行くぞ!ついて来い」
階段から降りて来た少佐に私は制服の襟首を掴まれて現場に行かされたのだ。

今日の少佐のリクエストは‥
「カッジュ!今日はレベル4な。ソイツ‥ムカつくんだ。俺の怒りがわかるなら俺のリクエスト利いてくれるよな。よろしく」
そう言って、少佐は車のボンネットにもたれて見物としゃれこんだのだ。

私は右後ろから手を出してきた男の腕を左手の甲で受け止めて。次の瞬間‥男の顎を左足で蹴り上げた。また反対にいた男に今度は右足の回し蹴りを決めた。二人の男は同時に地面に大の字にノビた。少佐はソレをみて満足そうにうなづき、私に賞賛とも言える拍手を贈り私にこう言うのだ。
「よくデキました。ご褒美は表通りの焼きたてワッフル3個でいいか?」
またこの頃の少佐は少しだけど口元で私に笑いかける。少佐のこのスマイルが出るとご機嫌の証拠らしい。ご機嫌を損なわないうちに私は【ご褒美】を喜ぶことにしている。

少佐は自分の財布から1ドル札を数枚くれて。
「これで買って来い。釣りはお小遣いに取っておけ。薄給訓練生」
お駄賃までもらう私だった。フォン部長先生にバレたら私は大カミナリものだ。
でも、そんな【やりとり】が少し嬉しい私だった。

私が車の中でワッフルを両手に持ってパクついてる最中も、少佐とアーノルド指導教育係は卒業後の配属先については何も言わなかった。ホイップを口の端につけた私を見て少佐は「ガキ」の一言を言っただけだ。アーノルド指導教育係は横で笑ってるだけだったな。

「少佐とアーノルド指導教育係・ビリー副指導教育係は私の事はどう思っているんだろう?私は‥少佐の所に行きたいんだけどな。打診がないとな‥希望の配属先には到底行けっこないし。ハァ‥どーしよ。少佐の所以外の部は行きたくないんだよな。ワタシ」
ペンシルを持ったまま‥また考え込んでしまった私だった。
作品名:HAPPY BLUE SKY 作家名:楓 美風