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死ぬまで生きて野郎
死ぬまで生きて野郎
novelistID. 63078
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深海

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今日は友人あーちゃんのお葬式。

彼女がなくなったのは台風の次の日。
あーちゃんは
「いい波が来てるから」といい、サーフィンに出かけ、そのまま帰らぬ人となった。

近しい間柄だった友人だ。

高校時代からの付き合いで、何かあるたびにお互いによく話したもんだ。

お互いに初めて彼氏ができたときは、それはそれは盛り上がった。

あーちゃんはその時期とてもモテていた。

さっぱりしていて、芯のある性格の彼女は同性異性からも好かれていた。

私の初めての彼氏との別れは
彼が彼女のことを好きになったからだった。

それを聞き納得して気持ちよく別れたことを思い出す。

久々にあった元彼は隣で号泣している。

「さみしいね」私は元彼に声をかけた。

「..... 」声も出ないようだ。

「大丈夫??」私はそっとハンカチを差し出した。

元彼はそれを受け取り「ありがとう。」と小さな声で言った。

「あーちゃんとはうまくいってたの??」

「いや、、、お前には悪いけど、勇気なくて告白すらできなかった。」うつむきながら元彼は答える

「、、、!
ふふふ、あなたらしいね。」少し驚いたが、小さな声で返した。

「なんであんな日にサーフィンなんて、、、」拳を握り、彼は言う。

「ほんとね、、、」

お焼香をした後、私は席を外した。







葬式後、久々に集まった同級生は喪服のまま、居酒屋で軽く食事会をすることになった。

あーちゃんを弔う会。

集まったものの、はじめはみんな、どんな会話から話し出したらいいのか、、、気まずい空気が流れる。

その中、担任の先生が立ち上がった。
「こんな会は足立も喜ばない!
みんなで昔の思い出を話そう!
きっと足立も楽しんで聞いてくれているさ!
泣きたい時は泣けばいい!
笑いたい時は笑えばいい!
あの足立だぞ??
どんな会であろうと天から優しく見守ってくれてると思う!
おーい!足立ー!みんなお前のために集まってるぞー!お前も参加しろよー!!」
先生が店内に響く大きな声で叫ぶ。

「もー!先生!周りに迷惑だから!!(笑)」

クラスのみんなが笑い、場がとてもなごんだ。

その後はそれぞれしたい話をしていた。

はじめはあーちゃんの話をしていたが、気付けば皆、自身の近況や他愛のない会話で盛り上り、あーちゃんの話をする人は誰1人いなかった。

高校の時はクラスで一番のしっかりもの、リーダー的存在だったあーちゃん。

ここまで人数が集まったのはあーちゃんだったからだと思うが、亡くなればこんなものか。
そう思いながら、他愛のない会話に愛想笑いをしていた。

「かなみ、久しぶり!!」
ハイボールのグラスをカラカラ回しながらミナが隣に座った。

「おー!ミナ!久しぶり!!今日いたの気づいてなかった!!」久しぶりの再会に喜んだ!

「ほんとだよー!ちょくちょく視線送ってたのに、かなみ、りょーくんとあーちゃんのことしか見てないから!!」ふくれっ面でいうミナ。

「変わんないね、ミナは。その表情懐かしい。」と私はクスクス笑った。

「あ!そういえば、かなみもサーフィンするんでしょ??気をつけなよー!かなみまでいなくなったら、ミナほんとに、、、」ミナが俯いた。
涙をこらえているように見えた。

「もー!ミナ!どーしたー!!」頭をぐしゃぐしゃにして、ミナにきゅっと抱きつく。

ミナが私の腕の中で言う。
「あーちゃんもう居ないんだよね?」

「うん、そうだよ。」

「あーちゃん、なんであんな日にサーフィン行っちゃったのかな?」

「ほんとだね。危ないね。」

「でも、でも、あーちゃん、大好きなサーフィンして、亡くなったんだから、きっとあーちゃんも幸せだったよね!」






「うん。そう言ってくれてありがとう。」





作品名:深海 作家名:死ぬまで生きて野郎