小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ホットスポット

INDEX|5ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 



私の脳裏に19年前の記憶が鮮明に蘇った。いつものように店の表に立ち、道行く人を見ていた。その日は祭りでいつもより人が多かった。私はいつもより視線を遠くに向けていた。こんな日は迷子が多い。子供の泣き声がする。迷子になったのか?私は声のする方に目を向けて心の中で念じた。
「迷子になっている子‥聴こえるかい?聴こえたら私の所においで!」
それからすぐに私の元へ小さな男の子が泣きながら、私のそばへ来た。
「エッ‥エッ‥おかあさん‥おとうさん」目をこすりながら親を呼んでいた。
私は男の子の顔を見た。私の声が聴こえたからここに来たんだろう。私の声が聴こえるはずだ。私はまた心の中で念じた。
「どうしたんだい?迷子になったのかい?」
男の子は周りを見渡したが、周りには人がいない。そして私の顔を見て言った。 
「いま‥ボクにいった?」
私はまた心の中で念じた。
「うん。私が話しかけたよ‥どうしたんだい?ボク」
男の子は私に話し出した。手をつないでいたが、押されて手が離れてしまったこと。押されて道路の端に弾き出され、見渡すと‥お父さんとお母さんがいない事に気づき、辺りを見回して探したがお父さん達は見つからなかった。泣きながら探してる時に、私の言葉が聴こえここにやって来たそうだ。
お父さんとお母さんは、今頃‥君を探してるよ。きっと見つけてくれる。それまで私と話しをしよう。男の子はまた声が聴こえたみたいで。
「うん。いいよ」赤い目をしているが‥笑った男の子だ。

男の子と色んな話をした。
「やっぱり‥そうなんだ。ボクきこえたんだよ。おかあさんにいったんだけど」
そうだよな‥私がしゃべることなんて大人には信じてもらえないさ。
君はウソツキじゃないよ。気にしないで‥
「うん。はじめて‥こえきいたときはビックリしたけど。こんにちわ‥だったよね」
うん‥私はこの男の子に言ったんだ。迷子になったり困った時はここにおいで。この言葉が聴こえていたんだな。私の想いが届いてたんだ‥よかった。

男の子とどれぐらい話をしただろうか‥気がつくと私の足にもたれて眠っていた。私はまた心の中で念じた。また念じることによって、手に持っていた杖が道に落ちた。
作品名:ホットスポット 作家名:楓 美風