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クリスマスプレゼント

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肩を揺すられて、目が覚めた私だ。また声が聞こえる‥
「奈津ぅ!こんなところで寝たら風邪引くぜ」
健太の声が頭の上から聞こえた。顔を上げた私に健太は言った。

「インターホン2回鳴らしたんだぜ。その前に携帯に2回連絡したのにさ、奈津が出ないからさ。来ちゃったよ‥あぁ残り物じゃないぜ。買って来たんだ」
私の目の前にケーキの箱を見せた健太だ。

1日立ちっぱなしで疲れている健太なのに、キッチンで紅茶を入れてくれた。
いつもなら紅茶を入れ終わるまで私は口を利かないのだが。眠りに堕ちる前に聞こえたサンタさん達の声が頭の中でプレイバックした。そして私は健太に声をかけた‥
「声をかけられた時はビックリした。俺が紅茶やコーヒーを入れる時は、奈津はいつも黙ってるからさ」
「うん。健太いつも真剣な顔して入れてるから。夢かも知れないんだけど」
信じてもらえないと思うけど‥サンタさん達との「ババ抜き」をした話をした。またサンタさん達に愚痴ってしまったことも健太に話した私だ。

「奈津の悪い癖だな。俺もだけど‥」
「うん。サンタさん達がこれを機に変わりなさいって。だから‥健太に声かけたの」
「そうか‥俺も変わらなきゃな。話さなくてもわかってもらえるはダメだね。また聞かないといけないんだよな。俺達10年一緒にいるけどさ」
「うん‥仕事が忙しいのを理由にしてね。話さなかったね‥そういうこと」

「そうですね。でもこれから‥実行すればいい事だと思うよ。奈津もそう思っているから、夢の中の話だけど、俺に話してくれたんだろう?」健太は私を抱きしめて言った。
「うん。夢の中の話だけど‥」
「夢の中の話だけど‥サンタさん達が奈津にくれたんだ。またさ‥店で最後の予約客がキャンセルになったのも。それって、サンタさん達が俺にもくれたことにもならないか?」
「そうかもしれない‥じゃなきゃ。そんな事は起きないよね」
「うん。俺も思うよ‥これはさ‥きっと」私の耳元でささやいた健太だった。

健太は‥私の肩に顔をつけて眠っている。

「聞かないと分からない事もあるんだ。また‥言わないと分からない事もあるんだね。サンタさん達‥ありがとう。私と健太に話す機会をくれて‥これが私達にくれたクリスマス・プレゼントなんだね」  
                     完
作品名:クリスマスプレゼント 作家名:楓 美風