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ダブルな顔

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 それ以来、また人が怖くなって家に引き籠っていた私だった。それから1ヶ月後に父が仕事先で倒れた。頑強な身体をした父だったのに。救急車で搬送された病院に母と二人で駆けつけたが‥父はもう帰らぬ人となっていた。脳内出血だった‥
私と母は‥父が亡くなってからも泣き続けた。何日も泣き続けたが‥そこは人間だった。母と私は泣き腫らした目を軽くタオルでこすりながら‥

「さくら‥おなか減ったね」
「うん。お父さんには悪いけど‥おなか減った」私と母は顔を見合わせて‥
「何か食べようか‥お風呂も入らなきゃ」
「そうだね‥」私と母は立ち上がって台所に行った。

 父の初七日が終わり母から私に話があった。
「さくら‥この家のローンはないけれども。やはりお母さん働こうと思うの。さくらはどうする?」
私は答えれなかった。また母が言った‥
「お父さんが生きてる時と状況が変わったからね。辛くても前を向いてくれる?さくら」
「うん。考えてみる」私は母に言った‥

 それから、私はネットで色々と調べた。職安に行ってもいいのだが‥また人と接しなければいけない。パソコンならしゃべることナイもん。マウスでクリックしたら情報は手に入るんだ。調べ始めて2日が経った‥登録したサイトからメールが受信されていた。私が登録したサイトは「派遣会社」だった。私は短大時代にパソコンの資格取って、卒業するまでに「会計事務所」でアルバイトをしていてた。私は意を決意して面接に向かった。

 面接官はこう言った。私が記入した「職歴シート」を見ながら言った。
「まだ24歳でしょ。経理一つに絞らないで。色んなジャンルの仕事もチャレンジしてみたら?」
「で‥でも。私経理しかやったことがナイですし。他の事は‥」
「だから言ってるんですよ。職歴シートと履歴書の自己PR見せてもらったけど‥思い切って違う職種に行かない?ちょうど募集しているところがあるんだ」

 私は「行く」とも言ってないのに‥面接官 橋本さんに腕を引っ張られて「派遣先」に向かった。
作品名:ダブルな顔 作家名:楓 美風