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ネットラブ…して変わった私

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エピローグ



夫は布団の中で、私を軽く抱きしめたまま眠っている。
夫と‥約2年ぶりに夫婦の時間を持った。
私は眠っている夫の眉間を軽く指で押さえた。
夫のクセは眠っている時でも眉間にシワがよる。
婚約時代はこの眉間のシワを見て。

「ヘンなの‥寝てるのに眉間にシワって」
私はよく‥寝ている時にこの眉間のシワを指で押したものだ。また私は眉間のシワを指で押しながら、昨日夫が話した事を思い出していた。

「俺さ、答えられなくて黙ってたんだ。たっくーが「そんな難しい質問か?」って言ってきてさ。俺は正直に言ったの【わからない。俺もみなぴーと同じ感じだから。ネット依存症じゃないけどな】って」

「たっくーは何て言ったの?」
「アイツ‥今度はこう言ったんだ」

たっくーが夫に言った事は‥こうだった。
「じゃ、こーいうのどう?スンジー(夫のIDコード)がみなぴー再教育したら?意外とできるかもよ‥同じ想い抱えてるならできるさ。頑張れ!俺にプラン立てさせて」夫は頭をかきながら言った。

「そしたらさ、アイツ翌朝に【みなぴーネット依存症脱出企画】ってPDFファイルで俺のノートパソコンに送信してきたんだぜ。もうわかったろ?これで」
私は驚いて口が利けなかった。

夫は私の両肩に手を置き‥言った。
「俺がハヤトです。たっくーが作り上げた「ハヤト」キャラを演じてたんだ。たっくーの職業知らないよな?みなぴーにはリーマンって言ってたけど。アイツ‥駆け出しのシナリオライターだって。だから今回の企画もできたんだ」

「た‥たっくーがシナリオライター?エェ!!あなたが「ハヤト」ぉ!!」
私は驚きのあまり声を張り上げていた。そんな私を見て夫は口を押えて笑った。

「うん。思い出してごらんよ‥ハヤトとチャットを始めてから、俺はメシ食ってすぐに2Fの自分の部屋に入っただろ。初回はきっとALL(一晩中)だから、たっくーが仮眠取った方がいいって。そしたら案の定ALLだ。その日は普通に出勤したけど、実はネットカフェで寝てたんだ。夕方まで」
「う‥うっそぉ‥」
私が驚いているのを見て夫は今度は私の頬を指で軽く突っついた。
「ウソじゃないさ。みなぴーも段々「ハヤト」に改善されて、俺もまた「ハヤト」を演じる事で改善された。この改善の努力が楽しいって思った時に、みなぴーから【逢ってみたい】って言われてさ。俺泡くっちゃって‥たっくーに速攻で相談した。それが‥」

財布の中から、メンバーズカードを1枚出した夫だった。
「たっくーが行ってるメンズエステだ。俺そんなの行った事ないじゃん‥たっくーが連れて行ってくれたんだ。あぁ‥ごめん。その時にたっくーと初めて逢った」

夫とたっくーは、仲良くメンズエステに行き「男」を磨いたそうだ。1週間コースで!また一緒に「ご飯」や「呑み」にも行き、すっかりたっくーと仲良くなったそうだ。呑みの時に、たっくーが言ったそうだ。

「もう正体バラしな。ハヤトは実は俺ですって。みなぴー変わったんだろう?もうネット依存症じゃなくなったんだ。今度は現実の世界で仲良くしなよ!スンジー」と夫の腕をバンバン叩いて言ったそうだ。

何て事なんだろう。たっくーが紹介してくれた「ハヤト」は自分の夫だなんて。たっくーに騙された気もしたが、結果はオーライだった。たっくーの企画のおかげで、私と夫は、以前よりも仲良くなった。そして話もよくするようになった‥またお互いにも関心が持てるようになった。たっくーには【ありがとう】と言うべきかもしれない。

ネット・ラブした‥相手が夫だったが。
ネット・ラブして、また夫が好きになったようだ。
                            完