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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「歴女先生教えて~パート2」 第四十話

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帰り道で未海の家を訪ねて、今日のことを話した。
一緒に話を聞いていた新しいお母さんに未海は、お継母さんでもなく、
お義母さんでもなく、お母さんと呼んでいた。

思春期の複雑な感情もお互いに彼が出来て、美穂というお手本の存在で大人へと脱皮できたようだ。
朋美は颯真とのセックスで初めてイクという感覚を知った。
それは美穂が話していた通りのことだった。

吹っ切れた悩みから解放されて、強く颯真の想いを受け止めた朋美の身体は、大人に変わっていたのだった。

美穂の世界史授業が始まる。

「中央ユーラシア大陸ではモンゴル高原の遊牧民ウイグルが突厥(とっけつ)を滅ぼして建国する。そして前に話した唐では安史の乱が起こるの。755年の事。この乱は、今の北京を根城にしていた節度使(玄宗皇帝が置いた地方防衛長官)の安禄山(あんろくざん)が起こした叛乱。楊貴妃に迷った玄宗の治世に反旗を翻したというわけ。一時は都の長安も占領された。約八年間も安史の乱は続き、国力が衰退した唐を見て、周辺の国々が勢いを増すのね。唐はウイグルと連合して、ようやく安史の乱を勝利へと導いたの。その後税制を改正して持ち直し唐はその後100年も続く」

「長い戦いには相当のお金が掛かりますよね。借金が出来なければ、国家は疲弊して敗れてしまうと思います」

「そうね、その通りよ。唐の税制は日本のモデルにもなった均田制と租庸調(そようちょう)なの。この税制は、中間層である健全な自作農を育てて、一律に税金を徴収する方法なのね。ところが国が乱れて、戦争があったりすると、田畑が荒れて家が焼かれたりするので、自作農がやってゆけなくなる。その結果、大豪族の農園に雇われるようになるの。言い方が悪いけど、自作農の農奴化よ。宰相である楊炎(ようえん)は租庸調を止めて、夏の麦や綿花と冬の稲を対象に、資産に比例して課税し、銭納を原則としたの。年に二回の徴税なので、両税法と呼ばれている。この改革が功を奏して唐は息を吹き返した。この両税法は十六世紀後半に一条鞭法(いちじょうべんぽう)が施工されるまで続くわ」


*大乗仏教と密教について:
インドの密教はチベットに伝わりました。八世紀後半のことです。大乗仏教は中国に伝わりましたが、その布教ルートはシルクロードを東へと向かう道でした。
ところが密教はわざわざヒマラヤ山脈を越えてゆきました。当時チベットではトゥプトという国があり、中国の皇女が嫁いでいました。当然中国仏教も入り込んでいます。
インド仏教(密教)と中国仏教(大乗仏教)が、論争(宗論)を行ない、その結果、インド仏教が勝ちました。
それは、教学上の差ではなく、ヒマラヤを越えてまでやって来たインドの僧と、敦煌から連れて来られた中国僧とは、意欲の点で最初から勝敗の帰趨は決まっていたといえます(出口治明著:全世界史より抜粋)