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ひまっくす
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novelistID. 61093
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脱出ゲーム小説

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ただ、ただ、何もないこの森を無意識に歩いていたんだ。
そう、何かに惹かれるようにして・・・。
無意識になると人間は下を向くらしいんだ。たぶん、僕もそうしていたんだと思う。
だけど、ふと、前を見ると何があったと思う?
森だから、樹齢がすごい木とか、巨大な湖や、崖だとかおもうだろう?
だけど、それはどれも違う。
僕が見たものは、窓のない要塞のような建物だったんだ。
僕は何が起こったのかよく理解できなかった。だって、さっきまで無意識で歩いていたんだから。
でも、何かざわめく気持ちに誘われて、僕はその扉を開けた。
・・・扉の前には誰かの落し物があったような気がする。
そのときは「何かあるな」としか思っていなかったけど、
今になってもう少し早く気づいていれば・・・・と思う。
さあ、これから僕が奇跡的に脱出したことを述べよう。

中に入ってまず気になったのは部屋の物の無さだ。
なんというか、ものすごく殺風景だった。
次に気になったのは、さっき入ってきた扉だ。
扉の閉まる音が聞こえなかったから、後ろを振り向いてみた。
すると、扉が跡形も無く消えてなくなっている!
部屋全体を見渡してもない。もちろん窓もない。
・・・完全に密室となったわけだ。この部屋は。
でも、何かあるだろうと僕は必死で棚の後ろや机の下などを探した。
やっぱり、本当にこの部屋は何もない。
そのとき思った。何もないからこそ脱出するんだ、と。
そして、さっき棚の後ろを探したときに長い棒を見つけた。
これで僕がギリギリ届かないところを探れる。
長い棒で探ってみると・・・どうやら鍵らしきものが出てきた。
たぶん、机の引き出しの鍵だろう。そう思って鍵穴に突っ込んでみた。
ガチャッ
そんな音を立てて引き出しは開いた。
中には、箱だ。箱が入っている。
どうやらパスワードが必要らしい。この部屋にきっとあるのだろう。
よし、探してみよう。そしてこの箱の中身を見よう。

それからだ。僕が調子が出てきて、箱を見つけてそれのパスワードを見つけて、理解し、入力して箱を開けたのは。
箱に入っていたのは、何かのリモコン(?)のようなものだった。
もちろん、脱出できるならと思い、すかさず押した。
すると、
ビーービーー 
「報機の音だ、何処にそんなものが―――。」
そういいかけた途端、大きな音で、
『侵入者ガ脱出デキタヨウです。侵入者ハソのママ動かないデクダサイ。』
と女ロボットのような声が聞こえて、僕は背筋がゾクッとした。
・・・侵入者呼ばわりされたのにもゾクッとした。
とりあえず、ここに到着するまで時間があるだろう。その間に早く逃げないと!
でも、出入り口は何処にも――――
・・・いや、あった。一箇所だけ。
それは、換気扇の中だ。
何かのドラマでそういうシーンがあったのを覚えている。換気扇を通り、ボスとかの部屋に向かう、そういうシーンだ。
僕はこの部屋で見つけた懐中電灯と念のため、メモを持ち、そこに入っていった。
中は狭く、真っ暗で目の前すら見えないくらい暗かった。
懐中電灯を口にくわえ、前に進むと枝分かれた道があった。
僕は動揺したが、メモを持っていたことを思い出した。
・・・やっぱり、メモをもっていて正解だった。
メモは換気扇通路全体を示していた。いわば、地図ってところかな。
僕はその地図を頼りに換気扇通路を進んでいった。
―――目の前が明るくなってきた。僕はうれしくなり、そのまま進んでいった。
グワンッ
・・・危うく頭から落ちるところだった。
僕が出たところは、森だったんだ。最初にいたときとは違う、道がある森だ。
換気扇通路の出口には丁寧に梯子があった。
それを使い、僕は数時間ぶりの地面に立った。
「外がこんなに恋しいなんて、久しぶりだな。」
僕は一人でそう呟き、要塞を後にした。

道の途中で ふと、考えた。
入り口にあった落し物とは、僕の前に脱出した誰かがリモコンを押して、どうすればいいか迷っているときに・・・残念な結果となったのだろう。
脱出する前に気づいていれば、こんなことにはならなかった・・・。
前の人は僕のように迷った人に合図をくれていたんだね。

ありがとう。命を懸けて助けようとした人へ。


作品名:脱出ゲーム小説 作家名:ひまっくす