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お待たせ。

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デートの待ち合わせ時間の、数分前。

 葉月さんは、公園のベンチに座って本を読んでいました。

 人の気配と同時に、本に影が差し込みます。

「お待たせ。葉月ねーちゃん!」

「シンちゃん…」

 自分の横に腰を下ろした真一君に、葉月さんは 軽く食って掛かりました。

「ねーちゃんって呼ぶの…止めてくださいって、何度も言ってますよね? 」

 栞を挟んで本を閉じる葉月さん。

「私のほうが年下なのに…姉呼ばわりされるのは、どう考えても、不条理です!」

「…だったら、年上を『ちゃん』付けで呼ぶのも、変だよね?」

 真一君の言葉に、葉月さんがムキになります。

「でも…シンちゃんは、シンちゃんです!」

「─ だったら、葉月ねーちゃん だって、葉月ねーちゃんで おかしくないよね?」

 有効な反論が出来ない葉月さんは、唇を尖らしました。。。

作品名:お待たせ。 作家名:紀之介