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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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うねりと、せせらぎと

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 しかし、次の日の朝、事態は誰もが望まない方向に進みました。午前7時過ぎぐらいでしょうか、私はスマートフォンの着信音で目を覚ましました。電話の主は、フィルでした。私は眠い目を何とか開いて電話に出ました。
「もしもしフィル?おはよう」
 すると、涙声が返ってきました。
「ロザリー、ティムが、ティムが死んだ…」
「何ですって!!?」
 私は朝方にもかかわらず、大声を出しました。昨日、あの階段で頭を打ったあとも普通に歩いて、ほほえみさえ見せていたのに…。
「それ、本当なの、フィル?」
「うそなわけないだろ。とにかく、すぐにフランクヴィル・ホスピタルに来るんだ」
「…ええ、分かったわ」
 すっかり眠気が覚めてしまった私は、着替えてから、自分では運転できる心持ちではなかったので、タクシーを呼んでその病院へ行きました。
(どうしてなの…。昨日は全く普通に活動していたのに……。)
 タクシーの中で、震えが止まりませんでした。


 やがて目的地に着き、重い足取りで安置室に入りました。そこには既に、ティムのバンドのメンバー全員と、赤ちゃんを抱いて泣きじゃくるサラが居ました。私は、変わらず美しい顔の彼を見て、泣き出しました。
「ティム……本当に、ティムだわ……」
 私は、しばらく故人と遺族を見つめてから、フィルに尋ねました。
「彼は、いったいなぜ死んだの…」
 フィルの話によると、1時間ほど前、いつも起きる時間にティムが目を覚まさず、いくら起こそうとしても起きなかったので救急車で病院に搬送されましたが、ほどなく亡くなった、とサラから聞いたとのことでした。
 また、彼の死因が脳挫傷と聞いたとき、昨夜のことが私の脳に鮮烈にフラッシュバックしました。私は、頭から大量の氷水を浴びせられたような感覚を覚えました。
「私のせいなの……。私が昨日の夜、階段でふざけて彼を突き飛ばしたから……」
 私の言葉に、ギターのヒューゴとベースのジミーもこちらを向きました。
「…!そうなの、ロザリー?」
 ジミーが尋ねると、私はうなずきながら
「ええ…そうよ」
 と真実を告げました。途端に、ジミーたちの眼差しが突き刺すように冷たくなったのを感じました。
「取り返しのつかないことをしてしまった…。いくら謝っても、許されない……」
 ……私は、絞り出すように言いました。

 しばらく沈黙が続いてから、ヒューゴが口を開きました。
「ロザリー、もう俺たちに顔を見せるな」
 それを聞いて、私の体は一層震えました。そして、これ以上ここに居るのは私にも、彼らにも良くないと思い、悲しみながらその場を後にしました。