小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

そぞろゆく夜叉 探偵奇談11 後編

INDEX|36ページ/51ページ|

次のページ前のページ
 


用意されていたはずの颯馬のヒトガタは、粉々だったのだ。よほど強い守護を持っているのだろう。天狗だかあの強面のじいちゃんの念だかが、粉砕したに違いない。笑っていいのか怖がったほうがいいのかわからない。

「…先輩は、あの洞窟に入るつもり?」

トンボが鼻先をかすめて飛んでいく。アキアカネだろうか。瑞は唐突に尋ねたあと、指をたててトンボをとまらせようとフラフラ動かしている。

洞窟。颯馬に教えられた、過去も罪もすべてをうつす水鏡のある、沓薙四柱の懐のことだ。

「入るよ」

そうなるように、たぶん導かれているのだと思う。入るまいと思っていても、入らなければいけないような気持ちに、状況になっていくのだとわかる。夢のなかの瑞が昨夜現実に現れたように、少しずつ、そのように運命が操作されている感覚。

「おまえが京都から来たことも…先輩後輩になったことも…颯馬に出会って少しずつ記憶が紐解かれていくことも、全部仕組まれていると思うんだ。洞窟に入ってすべてを知ることも、その中にきっと組み込まれているんだ」

それが正解のルートなのか、それとも間違いなのかは判別できないけれど。

「誰が仕組むっていうんです?」

瑞が言う。長いひとさしゆびの上で静かに休むトンボを見つめながら。

「おまえだよ須丸」
「……」
「おまえが望んでるからだろ、きっと。そうなるように、導いているんだ、俺や周りを」

だから魂が巡るのだ。何度でも出会おうとあがくのだ。離れまいともがいているのだ。
この、須丸瑞という人間の持つ魂が、伊吹にそのような選択を強いている。颯馬は言った。瑞は特別な魂の持ち主なのだと。神様に近い何かをやっていた時代があると。