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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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そぞろゆく夜叉 探偵奇談11 後編

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「鬼になるって…言ってた」

伊吹がぽつんと呟く。

「恨みを残して死んだ者は、鬼になるって…。あのひとはもう悪霊ですらない。恨みを晴らすまで、長男が生まれる限り、永遠に殺し続ける鬼なんだ」

鬼…。お腹の子どもを守ろうとした母が、鬼…。それはひどく残酷な話だと思う。殺されることがなければ…母として我が子を抱くことができたろうに。鬼になって彷徨い続けるなんて。

「これは、古多賀家にかけられた長い長い呪いなんだよ」

長い、というより終わらない呪いだ。逃れられない呪い。家が存続する限り続く呪いだ。

「償わなくては…」

志帆は決意を固めたような瞳で呟いた。

「その話が本当なら、我が家はその女性に償わない限り、長男が死に続けます。一族が滅びないのは、男の子が生まれ続けるのは、殺して奪われる悲しみを思い知らせるため。この先もずっと続く」

憎しみを断ち切る方法があるとしたら、女性を手厚く供養することだ。そう主張する志帆に、無理だよと颯馬が首を振る。

「そんな表に出ていない歴史を、志帆ちゃんの一族が知るはずない。知っていたとしても、一族の古いひとたちは、それを罪だったと認めることもないだろう。隠したいことだろうからね」

供養もできないのか…?

「ひどいね…赤ちゃん、生みたかっただろうね…」

どうしようもない思いを抱えて、郁はうつむくことしかできない。

「問題はそれだけじゃない。供養しておしまい、では終われない。伊吹先輩が狙われた理由が、未だにわからない。向こうは名前を知ってるんだ」

確かに…。まだわからないことだらけだ。

「今日がここにいられる最後の日だ。今夜、決着をつけなくちゃならない…」

またあの女と対峙すると、伊吹はそう決意を固めているようだった。