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村上春樹な文体を真似してヤクザ小説を書いてみた。

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 原の兄貴はドスの効いた声でマサシに言った

  マサシは寺井(私)の部下となったのである。しかも私は頭だ。カシラと呼ぶべき自然な決まり事 しかも名簿名(偽名でない名前)で呼んでしまった。




「おいマサシ! 何か勘違いしてないか?」
 原の兄貴はドスの効いた声でマサシに言った

 マサシは、はっとした。失言に気づいて
 訂正しようとするものの
 とき既に遅く、原の兄貴はマサシを白けた目で見つめていた。

 マサシは幹部たちの前でドジをして冷や汗をかいている。マサシは寺井に土下座し、

「言い違えました。すいませんでした。カシラ!」

 そんな表面的な言葉で上下関係に五月蝿い原の兄貴は納得しないだろう。ヤクザの世界は土下座は御法度だ。誠意を示す態度なら指の一本は差し出せる。土下座で済まそうとするのは謝罪の為に何も捧げる物がない、と言っているものである。何より土下座は男らしいない、。サラリーマンでもできるのだからヤクザは土下座を嫌う。

 しかし、土下座は
 滅多に見れるものでもないから、何故土下座がいけないのか理解できてないヤクザは多い。
 マサシはきっと、これまでの人生で土下座を強要してきた側で、それはある意味、失敗を犯した経験がないエリートで、もしかしたら土下座するのは初めての経験なのかもしれない。

 元来優秀であるならこその、些細な失敗であるなら、これくらい多めに大目に見ても……

 原の兄貴はタバコに火を着けて一服しはじめた。


 部屋が静まりかえる

 まさか
 こんな些細な失敗で根性焼きをするのか(※根性焼きとはタバコの火を顔とか体にに擦り付けること)

 やはり平井組。トカゲの尻尾として最前線の兵隊だ。部下の支配は徹底的してる。

 原の兄貴はタバコの火を持ち変えマサシに近づいて




「まあ、今回のは多めにみてやってくれんか?」
 原の兄貴は呟いた

「新しいシノギに挑戦できる!言うて、マサシも、舞い上がっとったのや、なあマサシ」

 マサシは土下座したまま頷いた。

 原の兄貴を立てる為にも許さなければいけない。寺井としては許すもなにも最初から怒ってはいない。原の兄貴が、ピリピリとした敵意の様な空気を感じ取ったから、協調して怒ってる様な振り従っただけであった。

「もういいから。土下座はみっともないから辞めてくれ」
 寺井の言葉にゆっくりと立ち上がるマサシは、もう一度謝罪し、お辞儀をした。
「すみませんでした!」
 まるで自衛隊隊員がやるような迫力あるお辞儀をしたマサシ、どんな時でもヤクザはこれが正解である。





 それにしてもふに落ない。ここは兵隊の集まりで土下座はありえない、ましてやマサシは平井組のナンバー2になる男だ。上下関係に誰よりも厳しい原の兄貴が、しっかり教育してても良さそうに思うのだが……



「なんか気づかんか?」
 原の兄貴が寺井を向いて呟いた。

「土下座はマサシにとっては挨拶なんや」


「マサシは土下座しながら、自慢しとんのや」


「手をよう見てみい」


 マサシの手をみると両方共義手だった。一見すると義手に見えないくらい精巧にできた義手だ

 原の兄貴はマサシの手を取ると、寺井にマサシのこれまでの武勇を語って聞かせた。武勇伝の中には失敗したものも多々あり、たとえば、敵対ヤクザにスパイとして潜り込みヘマをした話。縄張り争いでボコボコにされて拉致監禁された話。土下座で失敗して指を切断された話。美人局で失敗して泣きながら、おもらしした話

 マサシは、あらゆる修羅場をくぐり抜けてきた際に、失敗を沢山した。ヤクザとして誠意を示す為の指詰め儀式で、指を全て使いきってしまった。

 マサシが土下座して手を前に出すのは、相手にそれが見えるだろうと思ってのことで。そしたら驚くだろう。相手がそれに気付いたら自慢してやろう。という思いから、土下座をしてしまうらしい。

 マサシが個人的に自慢したいが為に安易に土下座をするようになった経緯もあって、平井組では土下座に見慣れて慣れてしまい、土下座自体をタブー視する文化はなくなったのだそう。マサシにとっては土下座は挨拶のようなものであり、謝罪の意が一番込められていたのは、自衛隊式の礼の方だった。

 それにしてもマサシ
 初日から頭の寺井より目立ってる。部下の癖して、大将より目立つとか空気読んでない。 原の兄貴にも可愛がられまくってるから、寺井の影が薄い

 頭として舐められてるみたいで、不安になった寺井は、マサシの自衛隊式挨拶を真似た

「今日から俺の事は教官と呼べ!」
 かなり高圧的に言った寺井。



 原「カシラとしての笑いのセンスないな」

原誠司は平井組の麻薬の密売ルールについて語り出した。

  平井組が経営しているパチンコ店、そこが密売の拠点になっている。店内は煙草の匂いがこびりつき、麻薬犬の対策は十分らしい。麻薬は月に一度、パチンコ代のフレーム内部に隠して、引越しトラックにて持ち込まれる。ネットで注文を受けて、依頼人の住所宛に封筒にて配送する。

 原誠司と平井組を含めてネット販売の知識は詳しい。ネットはアクセス記録がサービス会社に必ず残り、リアルで販売するのと同じくらい証拠が残る。

 VR世界での、麻薬シノギをするにあたり、本家山口組は密売交渉の代理人としてアフリカ人を起用した。現地にスタッフを派遣していて、アフリカ人に犯罪教育をしている。 アフリカは途上国として住所の無い者が多い。ネットで犯罪行為をさせるにはうってつけであり、警察の捜査の手が及ぶ前に、退職金を払い地方に隠居してもう。現地人にとっては一年働けば一生食うに困らない稼ぎが生まれる訳であり、仕事に飛びついてくる。

  アフリカ人でも日本人相手にビジネスが出来るのがこのVR世界の凄いところかもしれない。ゲーム内では脳の言語野、感情野で直接対話できるから、日本語を知らなくても日本人相手に麻薬の取引を持ちかけられる。

  私が任された仕事はアフリカ人と現地スタッフに対する教育である。密売するに当たって様々な細いルールを共有し合う。私がこの仕事に任命されたのは、たまたま組織の中で一番、ゲームと麻薬に溺れていたからだ。堕落していただけなのに、小規模とはいえ組の頭になれるのだから、世の中何が起こるか分らない。

「社員教育」言葉を変えると私のしている仕事はそういことになるのだろう。教育と言っても、全てVRを使ったオンラインで行われる。体は日本のとあるパチンコ店にある。
 
  私の今日の仕事はひと通り終わり、自宅への帰路する
  帰り道、特別トラブルもなく無事に家への前に着いたが
「あのう!」

  声のする方向に振り返るが、しかし、誰もいない。
  「こっちこっち」
 足元から声がして向くなり、子供がいた。こちらに向かっては話しかけていた。
「あたしね、しってるんだよ? おじさんがVRでなにやってるか!」
 






「お嬢ちゃん、もしかして原さんとこの子?」