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ごめんね、ごめんね、ごめんね(星の砂SSコンテスト 落選作)

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「祐介、教えて! あなたは橋から落ちたの? それとも飛び降りたの?」

 祐介はビクンと体を強張らせ、結衣の体をゆっくり離すと、静かに話し始めた。
「飛び降りたんじゃない……結衣がいなくなってから、俺、真面目に働こうとしたんだけど、やっぱり続かなくてさ……あの日もバイトを首になって、橋の欄干に座ってぼんやりしてた……でも、いつまでもこうしてちゃいけないと思って、立ち上がろうとしたら足を滑らせちゃったんだ」
「祐介……」
「ちゃんとしようと思ったらこれだもんなぁ、ホントに俺ってダメだよな……結衣にふられて良かったよ、あのままだったら、きっと結衣も不幸せにしてただろうと思うよ」
「あのね……本当に好きだったのよ……好きだからしっかりして欲しかったの、もし、祐介がもう少ししっかりしてくれてたら、私……」
「ありがとう……でも、きっとこれで良かったんだ、結衣の想い出がまだ胸にあるうちに、結衣に言われたように、ちゃんとしなきゃって思いながら死んだんだから……俺、もう行かなくちゃ……その前に結衣にひと目会いたくてさ……結衣が幸せに暮らせてるなら、俺、それで良いよ……ごめんね、ごめんね、ごめんね……」
「祐介、もう謝らないで良いの、私、私……」
 結衣は腕を伸ばして祐介を抱きしめた……。


「ママ、苦しいよ、どうしたの?」
 結衣は、はっと気付いて、腕の力を緩めた。
「ママ、泣いてるの? 大丈夫?」
 結衣の顔を心配そうに覗き込んでいる顔は……康彦だ。
「う……うん、大丈夫よ……私の大事な子……」
 
 それ以来、康彦は言葉を三つ重ねることをぴたりと止めた。
 あれは、結衣の潜在意識が見せた夢だったのだろうか、それとも……。
 
 結衣は今でも、親子三人で静かに、そして幸せに暮らしている。
 祐介との想い出は、胸の中にそっと、しかし、深く深く深くしまいこんで……。