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てっしゅう
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「歴女先生教えて~」 第四十一話

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美穂はこれから日本が大きな戦争に巻き込まれてゆく時代を生徒たちに教える。歴史の教科書や普通の授業では教えられないような隠された事実や推測を聞かせると同時に、二度と戦争をしてはならないとの強いメッセージを感じてもらわないといけないことでもあった。

「起立!礼」

「おはよう。着席して」

もちろんすぐに美穂は加藤の顔を見た。にっこりと微笑むその目に少し顔を傾けて答える。

「日本は長く続いた武家中心の封建社会から維新のクーデターにより西洋式の立憲君主制へと舵を切り替えた。まだ民主主義とは呼べない貴族階級が支配する国家だったけど、外国の文化がたくさん入ってきて、民間の運営するいろんな事業が活況を呈して確実に富国強兵の道を歩き出したの。中でも黒船到来で兵力の違いを見せつけられた海軍は明治後半にはすでに肩を並べるぐらいに充実していた。日露戦争に勝って、その艦隊能力は世界に知れ渡り、日本は世界に名だたる海軍国になっていたの」

「先生、日本は欧米に感じていた劣等感をなんとしても晴らそうと必死になって頑張ったのですね」

「高木くん、そうとも言えるわね。元々日本人は負けず嫌いで何事にも集中する能力が高かったから、なし得たのね。お手本となった諸外国のものより優れた改良品を生み出したから、驚かれたでしょうね」

「それはボクたちが知っている電化製品やパソコンなどでも言えることですね」

「そうよ、発明はそれほどでも無いけど改良は抜群の強みを発揮するわね。昭和の太平洋戦争直前では戦艦能力も航空機能力も潜水艦能力も多分世界一だったと思う。特に戦闘機の搭載爆弾の命中率はそれまでの航空機からでは考えられない高さで艦船に命中させたの。戦闘機では戦艦はやられないという神話が崩れたのね。だから真珠湾ではあのような結果になった。アメリカ軍が弱かったわけではないのよ」

「そのような能力があったにも関わらず、ミッドウェーで敗戦したのは何故なんでしょう?」

「簡単に言うと現場の指揮官と大本営との食い違いが決定的なミスを犯した、と言う事かしら。細かなことは言い出すときりがないけど、戦いには潮時と言うものがあるような気がする。一瞬のためらいは命取りとなるの。この辺のことはいろいろと言われているけど、この敗戦で日本はアメリカと停戦合意に向けた話し合いをしないといけなかったわね」

「負けたとは国民に知らせずに、軍部はイケイケムードを煽っていたと聞きました。なぜ多大な犠牲を被ったのにこんなことが出来たのでしょう?」

「渡辺くん、それは大きな疑問であり、知らなければならない真実だと考えるわ。今日はその問題を解くカギとなる日本の宗教観について考えるわ。特に明治政府から続く高官たちの意識の中にあった考え方にその答えが見つかると思う」

「宗教観ですか?日本はキリスト教の影響も強くないですし、仏教も鎌倉時代ほどは庶民の中に浸透していないと思いますけど、関係あるのですか?」