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霊感少女   第二章  二部

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屋上の扉





雅人が…
霊に憑かれてしまった




腰が抜けかけ
ガクガクと震える足で


相楽は 必死で
雅人の名前を叫んだ




鉄の重い ドアから





背中に 血塗れの少女を
背負ったままの雅人が





屋上へ
出て行く






……このまま
霊に取り憑かれたまま
屋上に出たら









雅人は 飛び下りてしまう





相楽は
屋上の扉まで


硬直した足を
引きずって



必死に 向かった





ニヤついた少女が
雅人の肩から
手を回し



雅人に 絡み付いた



  【私の勝ちね】



……待ってよ!
そんな勝負
最初から してないじゃない!



相楽は 力いっぱい
心から 叫んだ



   「雅人!!」









雅人は


平然と 振り返る





血塗れの少女を
背負ったまま



何事も なかった様に



相楽が 座り込む
屋上の扉に向かい


歩いてくる




ふと 扉の横に目を向けた雅人が 相楽に 声を掛けた



「何か 変な扉が あるぞ」



相楽が 座り込む屋上の扉の横に もう一つ 扉があった





血塗れの少女が
悲鳴をあげて


雅人の首に
腕を回した





雅人は 咳払いをしたが
それでも 構わず


扉の前まで 歩き続け






扉を 力づく
こじ開けた




  【ゴロン…】





扉を 開けた瞬間
中から 何かが
倒れてきた





「うわぁぁぁ…」

驚いて 後ろに倒れた雅人が 声を出した




同時に しがみついていた少女が 悲鳴を上げて
屋上の金網に
引っ張られる様に





消えた









相楽は 倒れてきた物に
目を 向けると



雅人の足元に



由美の姿があった



  「由美!!」


這いながら 由美の側まで来ると



階段の方から 足音と
「相楽!!」と 叫ぶ
松本と 三橋の声がした




相楽の叫び声を聞いて

先生を連れて
三橋と松本が 駆け付けてくれたのだ




相楽は ボロボロと 大粒の涙を 零し 気を失っている由美を抱きしめた



酷く 衰弱しきった由美の体を支え 口元に 耳を寄せる


弱々しいが 微かに 息をしていた


  「由美!由美!」

相楽が 何度も 由美の名前を呼び続けていると

駆け付けた三橋達と同行した教師が 屋上のドアから 三橋達を置いて 飛び出して来た



由美の姿を見て
一瞬 言葉を失った教師に
相楽は
「救急車!!」
と怒鳴り付けた



焦りながら携帯で連絡をする教師を 睨みつけた相楽は
「雅人!!」
と 叫び声をあげた



三橋と 松本が 屋上に 現れ 相楽に 駆け寄り
二人の顔を見た 相楽は そのまま気を失った




雅人は相楽に叫ばれ 慌てて由美を背負い必死に 階段を駆け降りていった