小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

「歴女先生教えて~」 第三十八話

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 
渡辺の質問に美穂は答えた。

「そう、共に戦わないまでも知らんふりをして領地を通過させたり、攻められても無抵抗で降伏したりとだらしない姿だったと思われるわ。最後まで抵抗した会津藩などは酷い目に遭わされたから、刃向わなかった藩主たちはホッとしたことでしょうね。戦国時代の武士団だったらこんなぶざまな敗退はしなかったと思う。薩摩藩はイギリスから最新兵器を購入して臨んだから、幕府軍はどうしようもなかった。ここでも財力の差が勝敗を分けたの」

「太平洋戦争で日本軍がアメリカ軍に兵力の差でやられたのと同じですね」

「うん、近代の戦争は武器の差、大量殺りく兵器の優劣が勝敗を決めると言っても過言ではないわ。圧倒的な数の徳川軍が敗退したのは武力の差と使命感の差ね。徳川家に恩があってもそれは昔話という若い兵士たちには錦の御旗を振りかざして最新兵器で攻め込んでくる敵を押し返すだけの気力は無かったと思えるわ」

「先生は明治維新が無かった方が良かったと思われますか?」

「高木くん、そうよ。私はそう考えているの」

「黒船が来て通商条約を結んだ井伊直弼(いいなおすけ)は暗殺されました。国内は攘夷一色だったと思うのですが、それでも幕藩体制で乗り切れるという保証はあるのでしょうか?」

「徳川幕府はね確かに古臭い考え方で官僚機構になっているから、井伊直弼のように独断しなければいつまでも批准が終わらずに外国の要求には返事できなかったかも知れない。でも慶喜(よしのぶ=徳川十五代将軍)は公武合体という共同作戦で日本の未来を見据えようとしたの。鎌倉時代に蒙古軍が来襲して国内の武士たちは国難に結集して立ち向かった。同じように朝廷と徳川幕府が呼び掛ければ日本中から優秀な人材が江戸に集結して、アメリカやイギリスなどと十分に交渉できたと思うの。決して幕府側の人材は劣っていたわけじゃない」

「それは勝海舟とかの人材を言うのですね?」

「幕末三俊と言われる、岩瀬忠震(ただなり)、小栗忠順(ただまさ)、水野忠徳(ただのり)を始め、川路聖謨(としあきら)、福沢諭吉、そしてもちろん勝海舟などみんな徳川家の家臣だったけど優れた人物だった」

「西郷や大久保、木戸などと比べても見劣りはしないという人たちですね」

「高木くん、そうよ。教養もあり意見も聞く、そして武士として凛と生きる覚悟もあったの。朝廷の威を借りてテロリストまがいをした薩長の郷士たちとはそもそも違うの。明治維新は何度も言うけど大化の改新と同じでテロ行為。自分たちのやったことを正当化する目的で教育も政治体制も改めた。これは確かめられた訳じゃないから本当とは言えないかも知れないけど、邪魔者に感じられた(攘夷しか頭になかったとして)孝明天皇は役目が終わると(維新になると)崩御した。特に健康状態が悪かったわけでもなかったのによ。そして即位した明治天皇は孝明天皇の実の子供ではなかったという指摘もあるの」

「まさか、孝明天皇は暗殺された?だとしたら犯人は誰ですか?」