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天井裏戦記

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三 宣戦布告



 その翌週、ネズミ屋敷の住人と言う称号いただいた亮太郎は、昨日のコンパの酒が頭から抜けずに起きたのは昼前。授業はもちろん代返。この辺は抜かりがない。手を抜くのにも一生懸命になることはそれすなわち勉強、すなわち生きる技術。もちろん持論で勝手な解釈。
 寝ぼけ眼でPCの電源を入れた。昨日確認しそびれたメールを見るためだけではない、久々に手応えのあったと思われるコンパ、ばら蒔いた種がちゃんと芽を出しているか確かめるためだ。そうと思えばどれだけ眠くても目が冴える、その辺はやっぱり身体が若い。
「さーって、と。結果はどうどうどうじゃらホイ、ポチッ」
この家同様長年使いふるされたフレーズでPCを立ち上げる、もちろん亮太郎はポチッと音を立てて立ち上がるPCなんぞ見たことはない。

 10秒、20秒――。この狭い空間で起きているのは亮太郎だけだ。学生生活のナビゲーターとも言えるPCは二日酔いどころか仮死状態かよというくらい起きない。
 亮太郎はイライラして何度も起動ボタンを押すが全くの静寂。
「マジかよ……」
起きないPCを見て、これはなにかがあったにちがいない。電源を見るがしっかりコンセントに繋がっている。
 あきらめてそのコードをたどって本体に戻るその途中、亮太郎の流れる視線はそこで止まったのだ。
「ああああああああっ!」
 インターネットのコードが途中で切れているのだ。
「マジっすかぁ……、ん?」
切れたコードを拾い上げ、目の前で確認すると嘆きは戦慄に変わった。

   コードが小さな歯で噛みきられている――

「えらいこっちゃぁぁぁ!」
 ほんの数分前まで夢の中だった亮太郎は嘘のように目が覚めて、反射神経だけで体が学校に向かっていた――。

作品名:天井裏戦記 作家名:八馬八朔