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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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あの日、雨に消えた背 探偵奇談10

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明日もまた



雨宿りをさせてもらい、社務所のストーブですっかり服を乾かしてから、瑞と伊吹は山を下りることにする。眼光鋭い颯馬のじいちゃんは、口数も少ないながらもてなしてくれ、あったかいぜんざいを振る舞ってくれた。空はすっかり晴れ渡って、綺麗な夕焼け空が見えた。

「あ、そうそう!」

社務所の入り口まで見送りにきた颯馬が、思い出したように口を開いた。

「お二人に相談があってさ。この間のいみご様事件のときの活躍すごかったでしょ?また力を貸してもらえないかな」

相談、と伊吹が眉根を寄せるのをみて、瑞も嫌な予感を覚える。颯馬が以前持ってきた相談は、呪いにかかわるものだった。颯馬との出会いの事件だったのだが、それなりに怖い目にあっている。

「知り合いの女の子関係からきた依頼っていうか困りごと相談で、できれば郁(いく)ちゃんも一緒に聴いてもらいたいんだけど」

なんで一之瀬が出てくるんだ、と口を開くと、まあまあと颯馬が笑う。

「こないだ、四人でガンバッタら解決できたでしょ?人助けと思って、気が向いたらでいいから連絡してよ」

じゃあまたね。そう言うと、颯馬は社務所のほうへと去っていく。

「…困りごとって、たぶん、ユウレイ関係?」
「ですよね、たぶん」
「…うーん」

ひともまばらになっと登山道を下りながら、二人して頭を悩ます。瑞は幽霊のようなものが見えるし、声を聞くこともできるのだが、だからといってそういった関係のゴタゴタをすべて解決できるわけではない。仲立ちくらいしかできないのだ。これまでの事件も、たまたま自分にできることがあっただけであって。