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同調率99%の少女(12) - 鎮守府Aの物語

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--- 4 川内・神通・不知火たち



 川内と神通は三戸と和子、そして不知火と話していた。川内は夕立と同じく皿いっぱいに料理を盛って手に持って食べながら会話に参加している。

「内田さん結構食べるよなぁ。女の子でその量って珍しくない?」
 三戸は同意を他の女子3人に求めると、その意見に賛同したのか3人共コクコクと頷いた。
「え〜そうかなぁ〜。あたしは普通に食べてるつもりなんだけどなぁ。てか三戸くんもっと食べなよ。君だって食べるでしょ?」
「いやまあそりゃ食べるけどさ、さすがの俺もこういう他の場じゃ遠慮するって。内田さん遠慮しなさすぎ。」
「あたしは無駄に遠慮したら負けと思ってるから。それにこれから鎮守府はあたしの居場所でもあるんだし、いいじゃん。」
 流留のついこの前までの状況を知っている三戸と和子は川内の言い分に歯切れ悪く相槌を打った。当然、川内がその手の細かい仕草や思いに気づくわけもない。
 咀嚼し終えると不知火の方を見て質問した。

「ところで不知火さんだっけ。どこ中?」
 非常にぶっきらぼうな言い方で川内は黙りこくっていた不知火に尋ねる。傍から聞いて言い方が気になった神通だったが、同じような無口なタイプの不知火は言い方なぞまったく気にすることなく、数秒してから口を開いてハキハキと答え始めた。
「○○中学です。2年です。」
「ふーん。艦娘になって長いの?」
「はい。私は五月雨のすぐあとなので。」

 川内が話題の口火を切ったため、和子も話題に乗ることにした。
「そうなんだ。五月雨ちゃんの後ということは鎮守府Aでは2番めに長いってことですよね。なにげにここにいらっしゃる艦娘の皆さんのほとんどの先輩なんですね。」
 和子の感想に神通も相槌を打つ。言われた当の不知火は褒められていると捉えたのか照れて遠慮しがちな返事を返す。

「いえ。まだまだ若輩です。まだ精進あるのみ、です。」
 不知火が発した言葉、その言い回しに高校生4人はまったくもって彼女の遠慮や照れなどを感じ取れないでいた。むしろ、年代の割に固い言い方だという感想しか持てなかった。
 誰もが思っていてあえて言わなかったことをズバリ口にしてしまったのは川内だった。
「不知火さんかったいなぁ〜言葉遣いなんだかババくさいよ〜!もっとゆるく行こうよ。あそこでキャイキャイ話してる五月雨さんたちみたいにさ。」
「!!?」
 和子と神通はもちろん、三戸も気にはなったその言葉遣い。ただ不知火のことをほとんど全く知らないため、あえて触れて反応を得る必要もないだろうと思って言わなかったことを、川内はサラリと言ってツッコんでしまった。
 さすがに3人も呆れたというより逆に反応に困る羽目になった。

 神通は川内の服のスカートにあたるアウターウェアを軽くクイッと引っ張って注意した。
「んっ、さっちゃん何?」
「内田さん。そういう言い方はちょっと……」
「え〜だって不知火さんホントに固いじゃん。今の言い方時代劇とかでもたまにしか聞かない言い方だよ。」
「それは……人それぞれだから。」
 それ以上は言葉がうまく出てこず、口ごもってしまう。そんな神通を見かねた三戸が代わりに川内を叱責した。
「内田さん内田さん。さすがに歯に衣着せなさすぎだよ。もうちょっとオブラートに包もうよ。相手は中学生だぜ? な、神先さん?」
 神通は三戸のフォローを得てわずかに自信を持ち、川内に言葉ではなく目で訴える。
 以前の神通こと幸からは到底考えられぬ、他人への気にかけだった。別段迫力らしい迫力はなくつつけば簡単に退せそうな雰囲気で弱々しいものだが、思うところがあったのか川内は神通の目を2秒ほどジッと見た後態度を変えた。

「ん〜わかった。さっちゃんがそういうならあたし言い過ぎたのかも。ゴメンね不知火さん。気にしないでね。」
 川内は後頭部をポリポリ掻いて不知火のほうに頭ごと視線を移して謝った。不知火は言葉こそ発さなかったが、頭をブンブンと横に勢いよく振って態度で気にしてないですという意思表示をした。


 その空気が悪いままだと気まずいと思い、三戸が話題を逸らすために改めて声を誰へともなしにかけ、話し始めた。
「そ、そういえばさ、智田さんの中学校って艦娘部はあるのかな?」
 不知火は一瞬頬をピクッとさせたあと、聞こえないくらいの音で口の中から息を吐き出した後答え始めた。先ほどまでの川内や和子という少し年上の同性への応対とはうってかわって戸惑いの色が見えていた。

「ええと。あります。この前司令に提携してもらって、友達と。」
 不知火は説明する内容を必死に考えながらしごく冷静に言い放つが、実際は焦りがあった。そのためか発した説明が断片的になる。声は張っていたため聞き取りやすいものの彼女のポーカーフェイスぶりはほぼ完璧で、実際は説明に戸惑っていたことなど三戸を始め和子・川内・神通が気づくはずもない。高校生組の間では、必然的に彼女の印象は次のもので共通した。


 口下手


 それは不知火こと智田知子の世間的(自身の中学校とその周辺)からの評価と一致していた。本来の感情を読みづらい分、彼女が発した言葉が余計にストレートに足りなさを感じさせてしまうのだった。
 さすがに彼女が実際に発した言葉から物事を察するのは無理だと悟り、まず三戸は和子に視線を送り支援を求める。和子はそれに気づき、不知火との会話の主導権を握って進めた。