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『仲間がいるから、書き続けられた~自分の居場所を求めて~③』

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『同人誌と私~自分の居場所を求めて~③』

 今日、同人誌の最新号が届いた。「別嬢」は、私が唯一、所属している同人会だ、かれこれ22年にわたって参加してきた。一口に22年といえば簡単なものだけれど、よくよく考えてみれば、 随分と長い年月だ。よくぞ、我ながら続けられたものだと思う。
 だが、更に考えてゆけば、続けられた理由は何も自分の力ではない。「別嬢」という同人誌がとても寛容で、誰でも、どんな作風でも受け入れてくれる場所だったからだ。
 いつだったか、所属していたもう一つの同人誌「コスモス文学」についてもお話ししたと思う。こちらは総合文芸同人誌で、私は主に小説作品をよく投稿していた。別嬢は詩や随筆の同人誌である。
 私の活動場所は主に同人誌だった。 二十代後半で「千姫夢語り」で書き手としての道を歩み始めたそのアマチュア作家としての道程はほぼ同人誌歴と重なっていると言って良い。残念なことに、「コスモス文学」は主宰者の方の体調で終刊になった。多くの同好の士の惜しまれつつの終刊であったが、長年に渡ってアマチュア作家に活躍の場を提供して、後進の育成に尽力してこられた主宰者には今も心から畏敬の念を抱いている。
 コスモス文学の終わりと共に、私の活動の場はアナログからインターネットに移った、これも以前、お話ししたとおり、何も意図したわけではなく自然のなりゆきだった。
 コスモス文学が突然の終刊を迎えた当時、私は大きな衝撃を受けた。自分を構成している要素―身体の一部がなくなってしまったような感覚、そこまでの大きな喪失感を憶えたものだ。
 その時、自分の「居場所」を確認したいと初めて別嬢の皆様にお会いしてみようと思った。月に一度の割合で開かれる別嬢の例会に参加したのである。実に別嬢に参加して以来、十数年めにして初めて同人の皆さんとお会いしたのだった。皆さん、品格のあるというのか、いつも御作品の中で拝見しているお人柄どおりの穏やかでありつつも、詩作のこととなると真摯さや厳しさを発揮される方ばかりであった。
 この例会参加の意味は私にとって大きかった。私はこれを契機に、アナログである同人誌ではなく、ネット小説の世界でやってゆこうと気持ちを切り替えることができたように思う。
 正直に告白すると、私は詩作についてはあまり真面目ではない。恐らく、同人誌に参加していなければ、今まで詩作を続けることは難しかったのではないか。
 今でも別嬢の締め切りを意識した時、詩作に励んでいるという有様だから―笑
 去年、コンテストで初入賞したときも、今年、引き続いて最優秀賞を頂いたときも、別嬢の先輩に真っ先に報告した。「本当に良かった」、まるでわが事のように歓んでいただけたのが今も記憶に残っている。
 コスモス文学が終わりになった時、実は、知人からは「あなたは小説をやっている人だから、別嬢は止めても良いのでは」とアドバイスされたこともあった。しかし、当時、私は「居場所」というものにこだわっていた。小説の同人誌をもちろん探したものの、なかなか参加したいと思うようなところは見つからず、やむを得ずネットに行くことになったからこそ、余計にアナログにも自分の存在できる場所を残しておきたかった。別嬢に残った理由は詩作を続けたいという純粋な気持ちよりは、そういった副次的な気持ちが強かったからだ。
 けれど、今になり、別嬢を続けさせて頂いたこと、自分の選択は間違っていなかったとつくづく思う。やはり、進路は最終的に自分で決断しなければならないものだとこの出来事で痛感した。
 正直に告白するが、入賞作品の二つともが「同人誌の締め切りに背中を押されて作った」ものばかりだ。
 むろん、今はこの同人誌が続く限り、参加させていただくつもりである。人生は良い意味でも逆の意味でも、どう転ぶか判らないというのが私の持論ではあるが、やはり何事も続けてこそ意味があるというものだろう。その大切なことを教えてくれたのが、別嬢であり、別嬢の先輩方だった。