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ハルニレの樹 第一章 (永遠の絆)

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「コーヒーとコロッケって、意外といけるね」
「はあ? 意味わからん……」
 体育座りでくっ付いている涼子の髪はサラサラしていて、デオドラントの香りがした。俺の右側半身の体温はかなり上昇しているように感じた。
「なあ、涼子。北海道に行きたいの?」
「うん。ハルニレの樹を見てみたいの」
「ハルニレの樹?」
「そう。ハルニレの樹……、ってね、元々は全く別々の二本の樹だったんだよ。寄り添う運命を持った二本の樹がね、厳しい自然の中で、長い年月をかけてどんな苦難にも耐えながら、決して離れることのない永遠の愛を誓って寄り添い続けて一体化したんだよ……」
 そう云って俯いた涼子の眼差しを見た途端、俺はもっともっと涼子の全部が好きになっていった。
 そして、夏休みに、二人で北海道に行こうと思った。
 ハルニレの樹を一緒に見るために。
 悦司は、夏休みまでに、バイト代を貯めなければ、と強く思った。