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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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ノベリストの最高傑作を!!

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「なんだこれ? 投票? こんな機能あったのか」

ノベリストに新機能が増えたみたいだ。
コメント欄に「投票」なるボタンが増えている。

投票された作品はランキングに反映されるらしい。
しばらく見てないうちに変わったもんだ。

「あ、そうだ! この投票で最高傑作を決めよう!」

せっかくなので新機能を使って、
自分のこれまでの最高傑作をランキングすることに。

それぞれのユーザーには自動的に、
作品の投票数に応じたランキングが送られてくるので
1つ1つ手作業で数えることはない。便利。

「おっ、出たな。どれどれ……?」


10位 桃太郎がぬいぐるみだったら? 100票 
 9位 詐欺師の宇宙旅行  114票
 8位 魔界学校へようこそ!! 200票

「あったあった。こんなのも書いたなぁ」

気になる1位は……。


1位 ロングロングクリスマス 10000票


「おおーー! これか! ……ってどれだ?」

オシャレなタイトルだが書いた覚えがない。
自分の過去作品をいくら漁っても出てこない。

どういうことだ?

「これまさか……未来の最高傑作か!?」

そうとしか思えない。
未来の投票すらも今に反映されているんだ。

「よし、こうなったら最高傑作を書かなくちゃだな!!」

俺の最高傑作『ロングロングクリスマス』。
今書けばランキングに乗るに違いない。

いったいどんな最高傑作なんだろう!



翌日、寝ずに書いた最高傑作はついにネットに放流された。

「ふふ、どんな応援コメントが来るのか楽しみだな」

感動のあまり熱の入ったコメントになるに違いない。
俺の執筆意欲に油を注いでくれるだろう。
楽しみだ。

「おっ! きたきた……」


>長くて説教くさい。ゴミ
>よくわかりませんでした
>正直、今までの方がいい


「あれ!? なんでどうして!? 最高傑作だよ!?」

評価はさんざんだった。
一部では評価してくれる人もいるが、最高傑作などとは程遠い。
あまりにかわいそうなので、俺自身でわずかに投票するほど。

「なんで最高傑作じゃないんだろう……。
 タイトルは同じはずなのに」

何度見返してもタイトルは一字一句間違えていない。
だったらどうしてこんなにも差が出ているんだ。

「あ!! わかった!! タイトルがかぶったんだ!」

原因がわかった。
同じタイトルの作品をこの後書いたんだ。
こんな簡単な答えにどうして気付かなかったんだろう。

同じタイトルをつけてしまうことなんてよくある。
まして、いっぱい書けば書くほどその確率は多くなる。

「うん、そうに違いない。
 きっと最高傑作の『ロングロングクリスマス』はこれじゃない。
 本当の『ロングロングクリスマス』があるはずだ!」

というわけで、
ロングロングクリスマスの第二弾を書いた。

同じタイトルでこそあれど、内容はまるで異なっている。
今度こそ最高傑作に違いない。


>短いし波がない
>オチが雑。
>毒にも薬にもならない・・・


「ちくしょーーー!! なんでだーー!!」

またダメだった。最高傑作にはなりえない。
悔しいので自分で少し投票してしまった。

タイトルはたしかに『ロングロングクリスマス』なのに。

「くそ! こうなったら下手な鉄砲もなんとやらだ!
 同じタイトルでいくつも書けば、
 最終的に最高傑作が生まれるはずだ!!」

それから俺は
投稿作すべてのタイトルを『ロングロングクリスマス』にした。


が、そのどれも最高傑作らしい評価を受けなかった。


最後にはもうこのタイトルを見るたび呪いの気分になる。
ノイローゼになりかけたところで、サイトの運営に電話した。

「おい!! この投票間違ってるんじゃないのか!!」

『いいえ、そんなことはありません。
 正しく未来も含めた投票数をご連絡しています』

「だったらどうして『ロングロングクリスマス』が評価されないんだ!」



『投票数は間違いないですよ。
 その作品は10000作品で、累計10000票集まっています』


記念すべき10000作目の
『ロングロングクリスマス』を書いたところで
それぞれに1票ずつ自分が入れたことを思い出した。