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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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隣と彼方 探偵奇談9

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「敏捷性はバド部だけの専売特許じゃねえぞ。それにうちだって、走り込みではどこにも負けてない」

次いで発言したのは吹奏楽部とロボット研究部だ。

「おやおや、文化部をお忘れですか?吹奏楽部は、もはや運動部も同然の体力を有していますから。まあきみらは、重い楽器を持って移動するマーチングのすごさをご存じないか」
「吹奏楽部だけではない。我がロボット研究部だって、緻密な計算のもと頭脳を武器に戦える」

あちこちで小さな火花が飛び交っている。

「今年は目立つ一年もいますしねえ。陸上部の天谷とか弓道部の須丸とか。部活対抗リレーは、例年に増してさらに注目度が高いと思われます」

生徒会長が興味なさげに言うが、それに敏感に反応した二人がいた。
陸上部主将・駒形瞬司(こまがたしゅんじ)と、弓道部主将・神末伊吹だ。

「天谷はアホだしチャラいし女癖は悪いが、走力に関してはもはや敵なし。十年に一度の逸材といったところだろうか。県大会での華々しいデビューをご覧になった方も多いから、すでに周知の事実だろう。弓道部には悪いが、うちに軍配があがるかな」

得意げに言い放つ駒形に、すかさず伊吹が返す。

「うちの須丸は一見するとボヘーッと間抜け面をさらしていることも多いが、どんなときにも冷静に己を保てる強靭な精神力の持ち主であり、秘めたる闘志は誰にも負けない。軟派な天谷とは違い、誠実さもあるしな」

カーン、と両者の間でゴングが鳴った。

「あの二人、後輩をディスってるように見せかけてべた褒めだね」
「溺愛してんのな~」

火花を散らす二人を、周囲は微笑ましく見守る。