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白と黒の天使 Part 4

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僕はカウンターにある携帯を今まで鞄の中を掻き回して探していた事に、恥ずかしくて真っ赤になった。
携帯を見つめる僕を見て
「お前、まさか携帯を探してたのか?」
益々恥ずかしくて背中を向けて東野の携帯を呼び出し、佐々木に渡した。
『もしもし、御坂』
「すみません、俺、佐々木と言います。御坂の代わりにかけてます」
『御坂は?何かあったのか?また、倒れたんじゃないだろうな!』
「御坂なら俺の前にいます。あの、俺は友達で偶然会って俺の店に来たんですけど」
『あぁ…俺の事忘れたてたって事か?』
大きな溜息が聞こえた。
「すみません」
『いいよ、佐々木君だっけ君が悪い訳じゃないんだし、で、君の店はどこ?』
「車は駐車場ですか?」
『坂の下の駐車場に停めてる』
「それなら、その駐車場の信号を渡って道沿いの『toy』って店です」
エッと驚く声が聞こえ
『拓郎の店か?』
「叔父を知ってるんですか?」
『同級生だったからな、すぐに行くよ』
話が終わったと思った佐々木の耳に
『御坂は…』
「はい?ここにいますけど」
『具合は悪そうか?倒れそうとかないよな?』
「大丈夫です。少しバツの悪そうな顔はしてますけど」
なら良かったと通話は切れた。
佐々木から携帯を返され、僕は不安そうな顔で見上げてしまった。
『怒ってた?』
「笑ってた」
良かったと安堵した。
「御坂、体の具合悪いのか?えらく心配してたぞ」
大丈夫と笑顔を向けると佐々木も安心した表情になった。

東野が来るまでの間、僕は光一さんの話や大学の話をしたり、佐々木は調理師の勉強をして、今度はパテシエの方も頑張っていると、和やかな穏やかな時を過ごしていた。
親しく付き合っていた事などない僕たちなのに、不思議な感覚もお互い感じてはいたが、それさえも居心地の悪いものではなかった。