小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

アンドロイドのペーパーテスト

INDEX|1ページ/1ページ|

 
「アンドロイド教育学科へようこそ。
 ここでは君たちは一切のテストが免除される」

「……へ?」
「……え?」

昔からのライバルである山田も俺と同じ声を出した。

「君たちは一切テストされることはない。
 だが、君たちのアンドロイドはテストしてもらう。入れろ」

生徒の人数分のアンドロイドが教室に入ってくる。
どれも同じ顔をして、ちょうど同じくらいの背丈。中に入れそう。

「ここで勉強した内容をアンドロイドに教えるんだ。
 それで学んだアンドロイドがテストを受けて点数をつける。
 人に教えたほうが頭に定着するからね」

「はん、そんなの楽じゃないか」

俺はライバルの山田の前にいることもあり強がった。

「ようは、アンドロイドに勉強を教えれてばいいんだろ?
 自分で覚えたりする手間がなくっていいぜ」

負けじと山田が余裕たっぷりに声を出す。

「なにを、お前の学力なんてそう変わらないじゃないか」

「ははは、言ってな佐藤。俺はとっておきの作戦を思いついたんだ」

「なん……だと……!?」

「悪いな佐藤。次のテスト、このアンドロイドが完璧に答えてやるさ」


その日の授業が終わると、
さっそくアンドロイドに対して必死に勉強を叩き込んでいく。

「いいくにつくろう、鎌倉幕府!」
「これが連立方程式なんだ!!」
「この時の主人公の気持ちは~~」

「ヨクワカリマセン、マスター」

一生懸命教えているつもりなのに、
なかなかアンドロイドは覚えてくれない。
機械といってもものわかりは人間とさして変わらない。

「えっと……とにかく、こうなるから、こうすればいいんだよ!」

「マスター。デハ、ハカノバアイダッタラ?」

「それは……こうするんだよ」
「ヨクワカリマセン」

「んあーー!! 教えるのがこんなにも難しいなんて!!」

教えるには7倍理解していなくちゃ教えられないと聞いたことがある。
どうやらそれは本当のようだ。

自分が勉強するよりも、教えるほうがずっと勉強が必要になる。

「くそっ……山田の奴は何か秘策を思いついていた。
 なんとかして、俺のアンドロイドをパーフェクトな状態に仕上げなきゃ」

山田にだけは負けたくない。
それはあいつも同じだろう、俺には負けたくないはず。

どんな秘策なのかはまるで見当もつかないが、
間違いなくアンドロイドを仕上げてくるに違いない。


「いったいどうすれば……そうだ!!」


絶対に山田のアンドロイドよりも賢くなれる方法を思いついた。

「山田の奴のアンドロイドの頭を交換すりゃいいんだ!
 あいつがどんな秘策でアンドロイドを賢くしたところで、
 その頭は俺のアンドロイドに交換してやるぜ!」

幸い、アンドロイドは不正防止のために同じ規格になっている。。
頭をこっそり交換したところでわかりはしない。

完璧だ。

山田、お前の秘策がどんなものか知らないが
どうやら俺の方が1枚うわ手だったようだな。


俺はアンドロイドに勉強を教えるのをやめて、
テスト直前に山田のアンドロイドと頭を交換する作戦を与えた。

「ワカリマシタ、マスター」

アンドロイドは作戦を実行した。
俺の練りに練った作戦は大成功し、誰にも見つからずに交換できた。

「やった! これでテストは完璧だ!」

アンドロイドだけのペーパーテストが開始される。
しかし、俺の交換後のアンドロイドはまるで筆が進まない。

「おかしいな、確かに頭は交換したはずなのに」

もしかして、アンドロイドの脳部分に何か問題があったのだろうか。
俺は一度、自分のアンドロイドの蓋をあけた。


「や、山田……!?」


アンドロイドの中には、山田が入っていた。

「秘策ってまさか……、自分が中に入って試験を……」


その後、アンドロイドを着ていた山田の首なし死体が発見され
もうテストどころではなくなった。