小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

幽霊アパートの試し方

INDEX|1ページ/1ページ|

 
「ねぇ知ってる?」

「その切り出し方だと、嫌な予感しかしないんだけど」

「そんなことないよーー、聴いてよ聞いてよ」

「はいはい。怖いのはやだからね」

「怖くない怖くない」

友達は私が幽霊とかそういうホラー系のものが苦手と知っていて、
いつも楽しそうにその話題を振ってくる。

「家のインターホンって押したことある?」

「当たり前じゃん」

「いや、そうじゃなくて。自分の家のだよ。
 自分の家のインターホンを、自分で押したことってある?」

「……え?」

私の部屋は一人暮らし。
上京してもう2年になるけど、そんな奇妙な行動をとったことはない。

「……やったことないけど」

「実はね、自分の家に幽霊が住み着いているか調べられる方法があるの」

「やっぱ怖い話じゃーーん!!」

私は耳を覆って布団をかぶりたくなったがここは大学。
せいぜいが耳を覆うくらいしかできない。
といっても、ここまで聞かされた以上すべての全容を聞いておかないと
かえって怖いので話を聞くことに。

「自分ひとりのときね、ひとりで家を出るじゃん?
 そして、玄関の前でしばらく待つの。自分が出て行ったとわかるように。
 そのあとで、インターホンを鳴らすの」

「……それで?」

「それを3日それぞれ1回ずつ行って、
 誰もいないはずの家から声がしたら……幽霊がいるの」

「ええええ……」

「あははは! やっぱあんた怖がらせると面白いわぁ!」

「やめてよ!! あたしの近所、昔噂になったんだから!
 そういう話されると、ほんとに怖いんだよ!!」

爆笑する友達に私は猛抗議。
また眠れぬ夜を過ごすことになりそう。

「あれだっけ? あんたの近所の近くで殺人事件があったって。
 え? まさか、あんたの部屋いわくつきなの!?」

「ちがうよ!! ぜんぜんちがうよ!
 ちゃんと入居前にそういうのしっかり調べたし!」

「なら大丈夫じゃん」
「そうだけど……」

私の近所では昔女性の殺人事件が起こった。
犯人は結局見つからずじまいで、事件も風化してしまった。

とはいえ、私がそんなおまじない?をしたことで
殺された女性の幽霊が私の部屋に吸い寄せられでもしたら……。

 ・
 ・
 ・

「はぁ……やっぱり聞くんじゃなかった」

家に帰ってからも、頭にはあのインターホンのことばかり。
幽霊がすでにいるのか試してみたいけど、
もしかして、これが原因で幽霊がやってくるかもしれない不安もある。

試そうか?
やっぱりやめよう。

でもやっぱり……。
止めておこうかな。

いや、でも――。

「やっぱり試そう!!」

幽霊がいる/いないに関わらず、とにかくこの葛藤から逃れたい!

私はひとりで家を出て、ドアに鍵をかけた。
そのまましばらく待って、完全に気配を消す。

……冷汗が流れる。

インターホンに指を伸ばす。
指先がぶるぶると震える。


――ピンポーーン……。






「はぁ、よかったぁ」

一瞬だけ緊張から解放された。
バカバカしいと思ってはいても、やっぱり怖い。

実際、初回さえなんとかなれば後は大丈夫。

ちゃんといわくつきじゃないのかを綿密に確認したし、
知り合いの霊感が強い人にも見てもらって「大丈夫」とお墨付きを受けている。
そんな私の部屋、102号室にまさか幽霊がいるとは思えない。

翌日も会社から帰ってから、誰もいない家のインターホンを押した。


――ピンポーーン……。


ま、フツーに反応はない。
鍵を開けて中に入って、明日の休日の予定を決めた。

翌日、夜の合コンに備えて着替えて家を出た。

「あ、そうだ」

すっかり忘れていた。
私はしばらくそのまま待ってインターホンを押す。


――ピンポーーン。


反応なし。
はい、これで終わり。

私は合コンへと向かった。




"はーーい"



足が止まった。
冷汗が止まらない。

聞き間違いなんかじゃない。
たしかに私の部屋から声がした。
男? 女? わからない。誰、だれ、だれ……!?

足が震えて目の前がゆらぐ。

怖くなってすぐに霊感の強い友達に連絡をした。

「もしもし!! お願い助けて!!」

『うんわかった。すぐ行く』

友達は事情を詳しく聞く前にすぐ来てくれた。
私が事情を話すと一緒に部屋に入った。

「……どう? 幽霊居る?」

「ううん、いない。大丈夫だよ」

「でも声が! 声がしたの! 確かに聞こえたの!」

「うん、わかった。それじゃ除霊だけはしっかりしておこっか」

友達は察しがよかった。
"聞き間違えじゃない?"などと私を否定することなく、
安心させるためにしっかり除霊をしてくれた。

さらに、大家さんにもかけあって霊が近寄らないように
家の周りにも除霊というか結界を張ることに。

「私が除霊をしてると、住民の人が不安になるかもしれないので。
 先に大家さんには理解してもらおうかなと」

「わたしゃいっこうにかまいませんよ。
 でも、幽霊はいないんですよね?」

「はい、あくまでも念のためです。
 この建物そこそこ古いから、霊が寄ってきやすいんです。
 たまたま霊が通りかかった可能性もありますから」

「ああ、でしたら、改築も一緒にしましょうかねぇ。
 やろうと思っていたけどタイミングがなかったものでねぇ」

「え!? いいんですか!?」

なんだか話が大きくなったことに、私は驚いた。
でも、新しく直してもらえるならこれほど心強いことはない。

私の住む部屋には、壁の奥に守りのお札か何か張ってもらおう。

「改築というか、一度完全に壊してから作り直すよ。
 新しいアパートができるまでは、こちらに住んでくれるかぃ?」

「大家さん、いくつアパート持ってるんですか……」

「秘密じゃて♪」

大家さんの厚意もあって、私は一時的に近くの別アパートに住むことに。
窓から見える景色に、前のアパートの取り壊しを眺めていた。

ショベルカーがアパートを容赦なく切り裂き、鉄球が壁を破壊していった。



工事が終わったころ、そのアパートはニュースになった。


『こちら現場です。
 取り壊し作業の最中に、部屋にいた男性が死亡した現場です!
 男性の死体は102号室の天井裏から発見されました!』

『また、男性の身元はかつて女性殺人事件で逃走中だった
 連続殺人犯で102号室に住んでいたと思われます!!』