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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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黒闇抱いて夜をゆく 後編 探偵奇談7

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「いみご様だ。俺の影響で一之瀬にも見えたのかな」

影響というのは、鋭敏な瑞の霊感を言うのだろう。あれがいみご様?なんという異様な神様だろう。化け物ではないか。

「これからどうするの?11組、行かないと!」
「あいつ颯馬を探してるのかもしれない。夜の学校内はいみご様のテリトリーだ。外に逃げたほうがいいかも」

颯馬と伊吹も、校内のどこかにいるのだ。早く知らせないと。そう思いいたって郁は、ようやく瑞と抱き合ったような姿勢のままだということに気づいた。瞬時に体温があがり、郁は慌てて身体を離す。

「あ、ごめん」

瑞はあっさり言うと立ち上がる。郁が嫌がっていると、そう思われただろうか。護ってくれたのに。郁は慌てて瑞の腕を引く。

「…須丸くん、ありがとう」
「ん?」
「あの、あたし声、出しそうになっちゃったから…ええと、ありがとう…」
「一之瀬目ぇあけたろ?」

そう言って、いたずらっぽく笑う表情が非常灯の明かりに浮かび、どきっとしてしまう郁だ。こんなときなのにときめくなんてどうかしている。でもかっこよくて、腕の力強さとか匂いとか、そういったものが瞬時に蘇って郁は何も話せなくなってしまった。

「先輩に連絡しないと。颯馬だけじゃなくて俺らもやばいって伝えなきゃ」

瑞はといえば気に留める様子もなくスマホを操作している。そうだ、あれがいみご様ならば、ターゲットにされている颯馬もだが、一緒に行動している伊吹にも危害が及ぶかもしれない。

「先輩、いまどこ」

真剣に電話をする瑞の隣で、自身の制服に移った瑞の香りにどきどきする郁だった。





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