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 僕は国語の先生からよくゴミみたいな文章を書くっていわれるんだ。ブタ箱みたいな作文ってね。でもそのゴミでブタ箱みたいな文章を我慢してくれれば、最後まで読んでほしいな。
 先週、自由が丘で小さな同窓会をやったんだよ。僕と康平と武志と篤史と四人でさ。僕はヒロキ。もう四十になるけど、僕もそれなりに友達がいるんだよ。
 こいつらはみんな僕に会うと僕に質問してくるんだ。
「今でも嫁さんに料理を作ってるのか?」ってね。それには理由があるんだけど、その前に簡単に僕の友達を紹介させてもらうよ。
 まずは康平。彼はデザイナーで世界でも活躍している。ダメージジーンズなども、今、日本で浸透する前から取り扱っていたんだ。この間はミラノで個展を開き、その前はパリ、そしてNY。世界で活躍しているが、康平の夢は日本でも、彼のデザインの服やなんかを浸透させたいと言ってたな。
 次に武志。彼は教師をやっている。武志はこの間NHKのテレビに出たんだよ。本当さ。世直し先生とかいった取材かな。武志が暴走族に説教するんだ。かなり張りのある声でね。誰のいうことも聴かない暴走族の奴らも、武志の前では大人しくなるんだな。そういうものをもっているんだよ。武志は。
 次に篤史。彼はNPO法人の施設の施設長をやっている。小さな民家を借りた施設だ。ああいった事業はよく事業拡大っていって、ポンポン新しい施設を立てるんだよ。新しい施設を立ち上げるとき、当然赤字になるから、必然的に職員の給料が安くなる。でも篤史は違ったね。彼は中古の小さな民家を借りて、決して利益追求なんかでなく、障がい者のためにつくすんだ。うちの施設の障がい者はみんな家族だっていってね。
 そしてみんな僕のことを聞いてくる。例の、
「今でも嫁さんに料理を作っているのか?」ってね。その理由は、僕は今四十で三十八になる嫁がいるんだけど、僕はプロポーズのとき、僕と結婚したら、僕の料理が毎日食べられるんだって言ったんだな。その約束は本当だよ。ある意味でね。でも全くの本当じゃない。つまりは僕が料理を長い間しなくなったときがあったからさ。一年くらい。
 それで僕の友達は僕が、僕にしてはあまりにもできすぎてる嫁がいるっていうんだ。みんながみんな言うんだから。参っちゃうよ。僕は料理だけは得意でね。どっかみんなでうまい店に行ったりする。イタリアンとか中華とか。僕はそれをしばらく食べていると、この料理は何の調味料を使っているかとか、どう調理しているかってのが分かっちゃうんだな。だから僕はみんなで行ったレストランの料理を再現することができる。みんな僕たちの結婚を料理で釣ったって思っているんだ。困ったことにね。
僕は介護の仕事をしている。
当然料理は作るんだけどね。
みんな会う度に僕が料理で嫁を釣ったと話すけど同時に、
「ヒロキも偉いよね。介護でケアマネジャーの資格を持ちながら、ケアマネジャーとして働かず、現場で働いてるんだってね」
「うん。まあ、現場から離れたくないんだ。」
 僕もよくそんなことが言えたもんだよ。でも僕は一応ケアマネの資格を持っているんだ。
作品名:LOVELY 作家名:松橋健一